《MITASAI REPORT-2021》落語研究会 襲名披露口上 伝統を次世代へ

襲名披露口上では先代の人々が挨拶をする

「とざい、とーざい」。23日13時半、第一校舎122教室では客席全体から掛け声がかかっていた。落語研究会の襲名披露口上の始まりだ。

落語研究会は三田祭で4日間、10時から17時まで「慶應寄席」を行う。落語・色物・大喜利と切れ間なく続く演芸の中盤をかざるのが、襲名披露口上。落語研究会では、落語をする際、いわゆる芸名である「高座名」を使っており、この名前は毎年の三田祭で4年生から1年生に引き継がれる。高座名の中には60年以上の歴史がある名前も存在し、同じ高座名を名乗る人たちは世代を超えてつながりを持つ。この日も、襲名をする1年生のため、多くの塾員が詰めかけた。

 

襲名披露口上では先代の人々が挨拶をする

 

部長の夜遊さんが司会となり、「10代目くも輔」「8代目東西」「22代目おさん」の3人の襲名が取り仕切られた。それまで名前を継いできた先代の人々が、順番に口上の挨拶をする中、名前を継ぐ側の1年生は最後まで頭を下げて、彼らの話に耳を傾けていた。

口上の挨拶で、7代目の東西さんが、「8代目はまじめっぽい子。これから彼が人生を落伍していくのを見るのが楽しみ」と話すと、会場から笑いが起こった。21代目のおさんさんは、「おさんは落語研究会で一番長く続いている名前。ひらがな3文字なので、子供から高齢者、さらには外国人でも読める。たくさんの人から親しまれる22代目になってほしい」とまとめた。

口上が終わると、新しく襲名した名前を用いて3人が落語を1席ずつ行う。10代目くも輔さんは、落語の本編に入る前に話す「まくら」で、「入学時からコロナ禍だったが、お祭りごとが好きなので、対面で三田祭ができて楽しい。落研に入って最初に覚えた噺(はなし)で成長した姿を見てもらいたい」と場を和ませた。その後、古典落語「時そば」では、威勢のよい蕎麦の売り声を披露。学生落語らしく原作より大げさに表現した場面では、会場がどっと湧いた。

 

10代目くも輔さんは堂々と「時そば」を演じた

 

部長の夜遊さんは襲名披露について、「自分も3年前に襲名したことをしみじみと思い返した。名前を継ぐことが縛りになることもあるが、それ以上にこの名前でよかったという部分が大きい。まさに落語研究会らしい伝統だ」と話す。

 

寄席の入り口に立つ、部長の夜遊さん

 

伝統をまとって進化し続ける落語研究会。今年の慶應寄席はいよいよ大詰め。来年以降の三田祭では、襲名で気持ちを新たにした次世代への期待がかかる。

 

(菊地愛佳)