夏も終わり、季節は秋。慶大も祭りのシーズンになった。三田祭、七夕祭、秋祭、四谷祭、矢上祭、芝共薬祭。慶大の6つの祭りにはそれぞれ特徴があり、その祭りを運営する人たちにもそれぞれの想いがある。今月号の特集では、慶大の祭の委員長にインタビューを行い今年の祭りにかける想いを聞いた。

>本企画の関連記事が、朝日新聞社のウェブサイトのアスパラクラブ・「華のキャンパスレポート」でも掲載されます<
                                  (遠藤和希・大熊一慶・花田亮輔)

・三田祭
三田祭委員長 吉岡直貴「塾生全員で作り上げる祭り」
・七夕祭
七夕祭 高柳祐真「予算は完全独立」
・秋祭
秋祭 齋藤讓一「目で見て肌で感じて」
・芝共薬祭
芝共薬祭委員長 波多腰寛輝 「地域の輪を広げたい」
・矢上祭
矢上祭委員長 吉田拓洋「今年はギネスに挑戦」
・四谷祭
四谷祭委員長 長谷部夏希「慶應メディカルコンテストというミス・ミスターコンテストがメイン」

 

・三田祭
三田祭委員長 吉岡直貴「塾生全員で作り上げる祭り」
 

―三田祭のコンセプトは
 三田祭には特にテーマは設けていません。何故かというと、三田祭は実行委員会だけで作っているものではなく、参加している塾生全員の思いが一つの形となって成り立っているものであるため、実行委員会が勝手に決めたコンセプトで活動するっていうのは少し違うと思っているからです。だから、あえてメインターゲットも絞ってないんです。できるかぎり参加者の思いを発表できる場を作り、とにかく参加者や来場者に楽しんでもらうことが最大の目的だと考えています。

―三田祭の特徴は
 三田祭は他の学園祭と違って、祭りの享楽的な側面、非日常的な側面だけにスポットライトを当てているのではなく、ゼミの論文発表であったり、学術的な側面にもスポットライトを当てています。享楽と学術の調和を目指していることが三田祭の特徴であると思っています。
 また、三田祭は慶應で一番開けている学園祭だと思います。家族連れもいる。論文を読みに来る人もいる。ナンパをしに来る人もいるだろうし、されにくる人もいる。他の学園祭と比較してみても、とにかく様々な色を持った人が来てくれるのは三田祭ならではだと思います。
―今年苦労した点は
 やっぱり校舎が少ないことですね。南館が工事中で使えない分、いままで使ってなかった南別館や東館を使用させてほしいとか、色々な場所を使わせて欲しいという交渉は学校側と重ねたんですが、良い場所は見つからなかったです。塾生の思いをどこかで削減してしまっているんじゃないかと思うと辛かったですね。ただ、参加団体総数としては減ってしまいますが、実はそれも一つのチャンスだと捉えているんです。昨年で50回を迎えた三田祭にはどうしてもマンネリ化してしまっている部分がありました。一つの困難を乗り越えることができれば、マンネリ化していた部分も塗り替えられ、51回目で新たな一歩を踏み出せるのではないかと考えています。

―実行委員会に入った理由・入って良かった点は
 ただ単純にお祭りが好きだったっていうのと、実行委員会が1年生から4年生までの4年間活動するサークルだったからです。1年生の時からスクラムを組み、4年生がトップとして1つの大きな祭りを作り上げていく。日本人的な考えがかもしれないけど、そういう組織に所属できるという喜びが大きかったですね。あと、参加団体の人たちから「実行委員のおかげで4日間やりきることができました」と、お礼の言葉を言われたときには本当にやっていて良かったなと思います。

―来場者へのメッセージをお願いします
 とにかく4日間全ての日程に来てください。今まで三田祭に参加したことがない、来たことがない塾生も三田祭を観ていただければと思います。

三田祭データ
www.mitasai.com/
【開催日程・11月20日―23日】
【委員会構成人数・161名】
【来場者数・約20万人】

 

 

・七夕祭
七夕祭 高柳祐真「予算は完全独立」

―七夕祭のコンセプトは
 第20回ということで、今までの祭りとは違うものにしたかったんですね。学生だけではなく、地域との交流というものが本来の七夕祭のあり方です。今年は、他の学園祭にはない夏祭りのようなテイストを活かそうということで、今年は“VS 学園祭“というコンセプトでした。独自なものは、プロの方に作り方を教えてもらって作ったねぶたが好評でした。去年の来場者は1万3000。今年は1万5000。規模がどんどん大きくなっています。
―他の祭りがキャンパス名を冠しているなか、SFCの七夕祭、秋祭は違いますね
 ある意味、コンセプトは明確になりますよね。七夕祭は夏祭り色。秋祭は学園祭。学部ができたばかりの時はメディアセンターの脇で小さくやる程度だったそうです。
―七夕祭実行委員に入ったきっかけや、入ってからについて教えていただけますか
 高校の時から学園祭をやっていたので、七夕祭について調べるうちに、学園祭のステレオタイプから外れている部分があったので面白いなと思い入りました。。遠藤地域の人たちから七夕祭が愛されているんだなと感じました。地域との交流も盛んで、市民センター、行政の方など多くの方と関わることができました。
―来場者へのメッセージ
 是非湘南藤沢キャンパスまで浴衣で足を運んでいただけたらなと思います。

七夕祭データ
http://tanabata.sfc.keio.ac.jp/index.html
【7月4日開催】
【委員会構成人数・73人】
【来場者数1万5000人】

 

 

・秋祭
秋祭 齋藤讓一「目で見て肌で感じて」

―秋祭のコンセプトは
 コンセプトは「DEEPIMPACT~笑撃festival~」。企画の面白さ、ユニークさなど今までの学園祭と一味も二味も違う祭りをつくってます。装飾ではキャンパスを和と洋でわけます。是非、企画、装飾を目で見て肌で感じて楽しんで下さい。
―秋祭実行委員に入ったきっかけを教えてください
 1年生の時に女装ミスコンを秋祭でやりたいという思いがあり、秋祭実行委員に入りました。
―来場者にメッセージをお願いします
 クオリティーの高いものですので、是非SFCの祭を実際に肌で感じて堪能してください。

秋祭データ
www.akimatsuri.sfc.keio.ac.jp/
【10月17日・18日開催】
【構成人数・50人】
【来場者数1万2000人】

 

 

・芝共薬祭
芝共薬祭委員長 波多腰寛輝 「地域の輪を広げたい」

―芝共薬祭のコンセプトは
 自分たちで新しいものをつくるということですね。ステージ企画がメイン。アカペラ、お笑い芸人、ミスター・ミスコンテストなどイベントは盛り沢山です。自ら協賛を得るため渉外の30人程度で走り回っています。慶應義塾になる前はもともと共薬祭だったのですが、芝共立キャンパスなので芝共薬祭になりました。今年で2回目となります。
―共薬祭から芝共薬祭になって、以前となにが変わりましたか
 規模が大きくなるので雰囲気がアグレッシブになったのではないかなと思います。
―実行委員会に入ったきっかけは何ですか
 クラス代表をやっていたのですが、いろんな行事担当があるなかで、気付いたら芝共薬祭委員になっていました。上からの指名で委員長になりましたが、本当になんとなくでしたね。でも、今ではほぼ毎日個人的に動いています。他は各局長に任せてるので、局長とは週1程度で会っています。
―不安はありますか
 当日どれくらい人数が来てくれるかは不安ですね。去年の状況をみて、今年の2年生から、どうせ学園祭はしけてると思われてしまっているので、それを見返す意味でも、集客を上げていきたいですね。
―来場者へのメッセージをお願いします
 今年は転換期。意識したわけではないのですが、芝共薬祭はミスター・ミスコンテストなど美に関するものが多いです。絶対楽しいので是非見に来てください。

芝共薬祭データ
http://www.kp-fes.jp/
【10月10日・11日開催】
【委員会構成人数・60人】
【来場者数・1500人】

 
・矢上祭
矢上祭委員長 吉田拓洋「今年はギネスに挑戦」

―矢上祭のコンセプトは
 第1回から去年までは、「地域密着」ということで「地域住民の方に矢上キャンパスを知って頂く」という理念のもと開催してきました。しかし今年はやはり、メインターゲットとして大学生も呼びこみたいと思っています。また「理系をもっと身近に感じてもらう」ということも、コンセプトの一つだと考えています。
―実行委員会に入ったきっかけや理由は何ですか
 高校生の時に学園祭のスタッフをやっていましたので「同じことが大学でもできたら楽しいだろうな」と思ったことが一つの理由です。しかし、これは建前のようなもので、そこまで深く考えて入ったという訳ではありませんでしたね。理工学部の学生が集まるコミュニティとして、矢上祭実行委員会が最大規模だったということも魅力であったのかもしれません。
―活動での一番の苦労は
 やはり実行委員会の人数が多い(212人)という点でしょうか。完全に一つにまとまることができない中、各セクションにとってより良いポイントでの妥協を探ることには苦労しました。
―来場者へのメッセージをお願いします
 矢上祭をそもそも知らないし、来たこともないという方もたくさんいらっしゃると思います。しかし第10回という記念の年、来場して頂ければ絶対に矢上祭を好きになりますよ。

今年はギネスに挑戦

 ある日の日吉キャンパス。広告研究会によるミス慶應候補の華々しいお披露目が中庭でされている。そのようななか、候補者をひと目見ようと集まった群衆相手に「こちらもよろしくお願いします」と、どこか遠慮がちに緑色のパンフレットを配る集団がいた。矢上祭実行委員会のメンバーである。
 「歩いている人と違って立ち止まっている観衆には、特に効果的に配布ができるものですよね」。実行委員長を務める吉田拓洋さん(理3)は、嬉しそうに振り返る。自身が昨年広報を担当しており、他大学とも連携して広報活動には特に力を注いできたが、ミス慶應候補お披露目と同じタイミングで配布ができたのは全くの偶然であった。
 今年で10回目を迎える矢上祭。三田祭などと比較すると、多くの学生が「地味な」印象を抱いている感は否めないが、他の文化祭に関して吉田さんが語る言葉は極めて穏やか、かつ冷静だ。「三田祭は僕も面白いと思います。ただそれは、矢上祭とは全く違った面白さ。同じ『学園祭』として括ってしまうのはもったいないですよ」
 吉田さんの言葉の通り、矢上祭は今年も独自の企画で勝負する。研究室見学など、理工学部の拠点たる矢上キャンパスならでは企画から、独自のノウハウを駆使し毎年好評のおばけ屋敷まで、バラエティ豊かなイベントを実行委員会自身が多く手がける。さらに今年はグラウンドを利用した遊園地を設けるほか、開催初日には何と来場者を動員してのギネス記録樹立にも挑戦する。(詳細は実行委員会HPを参照のこと)
 理工学部以外の学生にはなじみのない矢上キャンパス。普段訪れる機会がないからこそ、これを機会に足を運んでみてはいかがだろうか。
(花田亮輔)

矢上祭データ
http://www.yagamisai.jp/
【10月10日・11日開催】
【構成人数・212人】
【来場者1万5000人】

 

・四谷祭
四谷祭委員長 長谷部夏希「慶應メディカルコンテストというミス・ミスターコンテストがメイン」

―四谷祭のコンセプトは
 チェンジを掲げています。色々時勢も変わってきているなかで、医学部生の関心を取り戻すこと。これが第一目的ですね。今まではダイエットなど医学部のテーマを掲げていたのですが、変えなくてはならないなと思いました。それから、参加型の企画を増やしたいです。慶應メディカルコンテストというミス・ミスターコンテストがメイン。学内のバンドを呼んだりします。模擬店、室内展示、アームレスリング大会などを行います。各部活対抗のアームレスリング大会を企画しています。
―活動での苦労はありますか
 運営面では委員集め。準備では搬入に関してです。全体では週1回水曜日の集まり。場所柄、準備が前日になってしまうこともあり、搬入の日程調整が苦労します。他のイベントとぶつかったりすると、さらに大変になったりします。
―委員会に入ったきっかけなどを教えていただけますか
 先代の四谷祭委員長が私が所属する空手部の一つ上の先輩で、「次の代はやってくれ」と空手部代表者ということで抜擢されました。
―来場者へのメッセージをお願いします
 まじめなイメージを持たれがちな医学部生ですが、学園祭でははじけてしまう一面を持っています。そういう一面を是非見てくれたらと思います。

四谷祭データ
http://www.yotsuyasai.com/2009/
【11月14日・15日開催】
【構成人数・27人】
【来場者数・2500人】