1月11日、2022塾生会議の提言発表が藤原洋記念ホールで行われた。SDGsの実現に向け、塾生が取りまとめた提言を伊藤公平塾長に提出した。2022塾生会議は、昨年6月から開始した慶應義塾のSDGs実現に向けた取り組みの一環。全学部から選抜された塾生が、春学期は専門家のレクチャーを受けて「SDGsをめぐる世界と日本の現状」を把握し、秋学期は参加者が目標ごとに分かれ議論を行い、提言をまとめた。

塾生らと意見を交わす伊藤塾長

義塾内で実践可能なSDGsの構想を発表

提言発表会に出席したのは、参加者塾生、伊藤塾長、塾生会議でスーパーバイザーを務めた蟹江憲史教授、国谷裕子特任教授をはじめとする関係者らだ。塾生の代表者が、慶應義塾の中で実践可能なSDGsの構想を発表した。発表後は伊藤塾長を中心に講評があった。発表した学生への質疑応答に加え、塾長も自身の意見を述べ、学生と議論を交わした。

提言内容は、SDGsの目標を慶應義塾の状況に当てはめた上で、目標実現のための具体的な施策を示した。例えば目標6「安全な水とトイレを世界中に」では、慶大と他大学を比較したうえで、慶大に①ウォーターサーバ―の設置②ジェンダーレストイレの設置③託児所・授乳室の設置のアクションを定めた。提言の作成に当たっては義塾内での公開データに加え、他大学や企業の一部データを学生らが自主的に調査・収集し利用したという。

魅力的な目標やターゲットは義塾のものとして採用

塾長に提出された提言は、精査され学生にフィードバックされる予定だ。「魅力的な将来の目標やターゲットは義塾のSDGsの目標・ターゲットとして採用されるでしょう」と塾生会議代表の小林宏充教授は説明する。早期実現性の高いアクションは、実施に向けて議論を進めることを検討しているという。

全体講評では、教員らが塾生らの半年間を労う言葉を述べ、今後の期待を話した。伊藤塾長は「慶應義塾の比類なき先導者教育に向けて、今回が実験の第一号です」と述べ、「慶應には自治組織である全塾協議会がある。それに参加し活用して、組織的な提案をしていくことも塾生会議と合わせて考えてほしい」ともコメントした。

サマーキャンプも実施

塾生会議は春・秋学期の活動のほか、昨年8月にサマーキャンプを開催した。全一貫教育校から最大6人を選抜し、17の目標に分かれて議論を行った。児童・生徒・大学生が一堂に会するイベントは義塾で初めてだった。サマーキャンプで出たアイディアは秋学期の提言作成前に共有され、議論に活かされた。

来年度以降の実施も決定

塾生会議は来年度以降も実施することが決まっている。今年度の提言は、年度末までに自然科学研究教育センターの2022塾生会議ウェブページで公開予定だ。

(乙幡丈翔)