「アラジン」「ライオン・キング」「キャッツ」と近年ミュージカル映画が立て続けに注目されている。実写映画版「アラジン」の興行収入は100億円を突破した。複数回鑑賞するリピーターが続出し、紛れもない大ヒットを記録した。しかし、「アラジンが大好き!」という人でも舞台版のミュージカル『アラジン』を観たという人はどれほどいるだろうか。ミュージカルの鑑賞は敷居が高い印象だ。そこで、ミュージカルに抱く疑問を基礎から解説していく。

 

観たときの感動

今回、日本で数々のロングラン作品を上映している劇団四季の吉田智誉樹社長にミュージカルについて話を聞いた。

「ミュージカルは歌と踊りと芝居が融合した総合芸術で、芝居のみで進行するストレートプレイと比べて迫力が大きく、ストーリーや物語の魅力をより印象付けられる」と述べた。

 

劇団四季の魅力

劇団四季では徹底した「作品主義」を取っている。俳優は、個人より作品そのものが輝くように努力する存在であるという考えだ。それは、主役もアンサンブルも変わらない。また、劇場も「シンプル・イズ・ベスト」を理想とする。ハコ・設備の雰囲気よりも、どんな作品をも受け入れる柔軟さが肝要。ハード(劇場)よりもソフト(作品)を重要視している。

 

チケットの取り方

劇団四季では会員組織「四季の会」がある。会員は一般販売に先がけてチケットを購入できるほか、会員料金の設定があるため、おすすめだ。

また、当日に思い立って観たい場合でも、空席があれば劇団四季公式サイトで開演2時間前まで予約を受け付けている。

 

当日の注意点

当日はチケットを忘れないこと。これ以外には特別必要なものはない。服装も特に注意すべきことはなく、その時々に最適な服装であればよい。劇場がある周辺には開場・終演時間帯に営業している飲食店が多い。吉田社長おすすめの時間帯はミュージカルの後だそうだ。美味しい料理とともに、ミュージカルの感想を語り合うことほど幸せなことはない。

 

新たな文化の発信

元来、日本には歌舞伎の伝統があり、民族性やメンタリティはミュージカル文化に親和的だ。

しかし、「明治維新で西洋文化と出会った衝撃が、日本演劇界にはまだ横たわっている。東西の文化が融合する地平をどう見つけるか。これは、浅利先生がよくおっしゃっていた日本演劇の課題だ。新劇場でも、引き続きこの課題に向き合っていきたい」と意気込んだ。2020年に竹芝にオープンするJR東日本四季劇場[春][秋]では、海外のミュージカルを上演すると同時に、オリジナルミュージカルの上演も目指している。

 

ミュージカルの展望

日本のミュージカルにはまだまだお客様が足りない。

東京ディズニーリゾートの来園者数は年間約3000万人なのに対してミュージカルを鑑賞するのは年間740万人であり、そのうち320万人が劇団四季を観ている。

ミュージカルの魅力は他のエンターテインメントと比べても遜色ない。ポテンシャルは十分にある」と吉田社長はミュージカルの可能性を語った。

 

ミュージカルは決して遠い存在ではない。我々の文化にも基礎を持つ、芸術なのである。ぜひ、心躍るミュージカルの世界に足を踏み入れてみてはいかがだろうか。

(下遠野一樹)