例えば、「インターネットコンテンツ」と「テレビ番組」は、「インスタント食品」と「本格料理」のようである手間のかけ方、質の違い、手軽さの違い。2つは優劣をつけるものではなく、どちらもあってこそ私たちの生活は便利さと彩を併せ持っている。
現代社会では、インターネットが人々にとって当たり前のものとなり、テレビ番組に取って替わるニュースの伝達手段として浸透している。簡単にスマートフォンで情報が手に入るこの時代に、テレビ番組が果たす役割とは何であるのか。また、今後どのようになっていくべきなのか。数多くの番組の演出を手掛け、自身も出演した経歴を持つ、演出家でタレントのテリー伊藤さんに話を聞いた。

 

インターネットコンテンツとテレビ番組の長所と短所

インターネットコンテンツには、視聴者が見たいとき、場所に合わせて楽しむことができる、という利便性での長所がある。一方、テレビ番組には、企画から取材、ロケーションや編集作業に至る、手間暇がかかっており、それに伴う良質感や、見た際の満足感が高い、という長所がある。

また、自分が見たい番組を見られるか、という点では、インターネットコンテンツにおいて主導権は視聴者にあり、テレビ番組において主導権は製作者にある。

両者の違いについて、テリーさんは「インスタント食品のおいしさと本格料理のおいしさが異なることと似ている」とたとえた。味に深みはないが、便利で手軽である前者と、手軽ではないが良質感や満足感を得ることができる後者とを表現している。

「毎日インスタント食品を食べるのは、飽きてしまう。また、毎日本格料理を食べるのは疲れてしまう。同じように、メディアに関してもどちらにも良さがあり欠点がある。うまく両者とも活用することが大切」と話す。

 

テレビ番組の視聴率は息を吹き返すか。

現代の人々は、ご飯を食べるだけ、電車に乗るだけ、では満足ができず、スマートフォンを使用し、自分の行動を SNSで発信する等、一度にいくつもの動作をする傾向がある。

テレビの視聴にも同様の特徴が見られ、「ながら視聴」が顕著となっている。「視聴率はもはや息を吹き返さない。吹き返しても一時的であり、どのようにインターネットと共存するかを考えることが大切だ」と話してくれた。

例えば、NHK紅白歌合戦は、リアルタイムの番組をスマートフォンでみられるようになっている。また、テレビ番組間で流れるコマーシャルで載せきれなかった情報を、「続きはWEBで」という文言によってネットを活用するよう誘導している。

テレビ番組とインターネットコンテンツは、お互いを補い合い、共存している。「今日はインスタントか本格料理か」の選択と同じように、現代はテレビかインターネットかを選び利用する。

令和時代のメディア選択は、利用者の自由に委ねられているのである。

(南部亜紀)