特集

【熊本・震災特集】現地の大学生に聞いた、熊本での暮らし

「もっと熊本のことを報道してほしい」

熊本大学に通うFさんはこう訴える。熊本地震との向き合い方に、東京と熊本では「温度差」を感じると言う。

Fさんは、高校時代までを埼玉県で過ごし、進学を機に熊本県で一人暮らしを始めた。新生活を始めて間もない去年4月に、熊本市内で被災したことになる。

16日深夜、震度6強の揺れが、熊本市中央区に住むFさんの自宅を襲った。震度5強の揺れを経験し、避難所から戻ってきた翌晩のことだ。一度目の地震よりも長く、激しい揺れだった。Fさんは再び熊本大学へ避難し、しばらく避難生活を強いられることになった。交通機関が麻痺し、身動きが取れない状況だったのだ。

余震が頻発するなかでの避難生活だった。避難所の当時の様子として、周囲の人々から不安感や焦りを感じたと言う。困ったことはたくさんある。体操用のマットと毛布だけでは肌寒い夜もあった。断水状態が続き、小学校などの給水車から袋で水を運んでこなければならなかった。

不安を抱える避難者たちの生活をサポートしてくれたのは、一部の学生たちだった。自ら先頭に立って、避難者のケアにあたっていたと言う。危機的状況にあって周囲を思いやることができる彼らに、敬意を表したい。

震災から約1‌カ月で大学の授業が再開され、他県の親戚宅に移っていたFさんも、熊本へと帰ってきた。今でも余震はあるものの、概ね日常を取り戻している。しかし1年経った今も、復興が進んでいるとは感じられないと言う。益城町などの甚大な被害を受けた地区の現状は、元の姿とはまだまだかけ離れている。住民が愛する熊本城も閉鎖されたままだ。

東日本大震災の報道はあっても、熊本が取り上げられる機会は減ってしまった。これが「温度差」を感じる所以だろう。だが、東北と同じく、熊本の復興もまだまだ道半ばだ。「避難所で生活をしている人はもういなくなったけれど、今度は復興への歩みを見ていてほしい」というFさんからの言葉を心に留めて、これからも熊本の復興を見守りたい。
(石田有紀)

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