「フェアトレード」と聞いて、どのようなイメージをお持ちになるだろうか。慶大で唯一のフェアトレード推進サークル、Fair Trade Societyが出店する「ふぇあかふぇ」に足を運んだ。文字通り美味しいコーヒー・紅茶などをいただけるカフェであるが、使われている原料は「フェアトレード」によるものである。そもそもフェアトレードとは何か。主に発展途上国で生産された商品を、適正な価格で取引を行う貿易の仕組みのことである。商品を生産する人々の労働環境や、生活水準の向上が目的である。コーヒーや紅茶に限らず、カカオ製品、果物などの多くの商品がフェアトレードの対象となっている。

このサークルでは、現在20人ほどが熱心に活動している。国際問題についての勉強会をはじめ、生産者のもとに実際に足を運ぶスタディツアー、地域イベントでの販売活動、そして三田祭での出店をしている。設立は2012年と比較的新しい。創設者の卒業生は、留学先であるアメリカの大学がフェアトレードを推進していたことに感銘を受けた。しかし日本ではそのような取り組みを行う大学がほとんどなかったことから、自らの力でフェアトレードを普及させたいという強い意志をもって立ち上げたそうだ。その思いは現在のサークル員にも受け継がれている。髙橋佳歩さん(文2)は「日本でフェアトレードについての意識を広めたい」と語り、藤野江美さん(政3)は「単なるボランティアに終始せず、生産者が自立できるような支援をしたい」と語った。

記者がいただいたペルー産のコーヒーは、そのままでも酸味が少なく、濃厚な味わいであった。実際に口にしたコーヒーが「フェアトレード」によって私のもとに届いたのだと考えたとき、それは決して遠くの国にあるのではなく、私たちの身近にある問題だと思い知らされる。このカフェに足を運べば、かならずや心が温まり、かつ世界に思いを馳せる有意義な時間を過ごすことができるだろう。
(下村文乃)