司法試験 合格者発表 慶大は4位に留まる

 司法試験合格者数上位10校 (率は小数点第2位を四捨五入)
司法試験合格者数上位10校
(率は小数点第2位を四捨五入)

予備試験合格者数は増加

法務省司法試験委員会は今月9日、今年度の司法試験の合格者を発表した。慶大の法科大学院からの合格者数は150人で法科大学院別では4位。1位となった昨年と比べて人数が減少し、順位は後退した。全体の合格者は1810人と8年ぶりに2000人を割り込み、合格率は22・6%と過去最低となった。予備試験を利用した合格者は今年も増加し、合格者の9%を占めた。 (岩田なな子)

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慶大法科大学院からの合格者数は既修者コースが129人、未修者コースが21人となり、合わせて150人だった。合格率は44・6%。慶大は昨年度、合格者数が201人、合格率が56・8%と法科大学院で1位だったが、今年は京大、東大、一橋大に次ぐ4位と順位を落とした。

順位を落とした主な要因として慶大や東大では予備試験の合格者が増加したことがあげられる。全体の合格者が200人ほど減少したのも要因の一つだ。

既修者コースと未修者コースの差は今年も埋まらなかった。法科大学院別に見ても、既修者コースは合格者数と合格率がそれぞれ2位と3位なのに対し、未修者コースは奮わなかった。

慶大法科大学院法務研究科委員長の片山直也教授は、「各界において、法曹人口の増えすぎと質の低下を懸念する意見が根強く、今回の合格者数の減少につながった」と話す。法務省によれば、全体の合格者数は昨年から239人少ない1810人。2006年以来、8年ぶりに2000人を割り込んだ。合格率も22・6%で現行制度に移行後、過去最低になった。そのため、優秀な層に加えて、より長く法学を学んでいる人が合格する一方、法学未修者の合格が難しかったと分析する。司法試験 表2

また、2011年から始まった予備試験を受験した合格者は昨年と比べ43人増の163人。合格率は66・8%と高い数字を出した。片山教授は「予備試験は経済的な理由から法科大学院に通えない法曹志望者のために作られた制度だが、優秀な受験者は法科大学院に通わず、予備試験を受けることで、最短で法曹になってしまう。優秀な人ほど法科大学院でしっかり勉強してほしい」と話す。

慶大法科大学院では今年4月に開設11年目を迎え、グローバル化への対応と多様な人材を集めるため改革を進めている。

来年度からは秋入学の募集を開始する。これまでより半年早く学習を始めることで、在学中に提携先の海外の法科大学院へ半年ないし1年留学するプログラムの実施が予定される。法曹資格を取得するための学習だけでなく、資格取得後にグローバル社会で活躍する人材育成を目指す。

加えて、修了生の若手弁護士が中心となり、法学未修者コースの学生のフォローを行う「グループ学習支援ゼミ」を今年から開設。多彩なバックグラウンドを持った法曹の養成に力をいれる。

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伊藤塾塾長・伊藤真氏のコメントと慶大生へのアドバイス

本年度は、合格率約22・6%と、昨年より厳しい闘いでした。予備試験合格者は約66・8%と、全国平均を大きく上回っています。上位5位の法科大学院は合格率が4割を超えたものの、29校が1割を切っています。早い段階から予備試験合格や上位法科大学院への進学を目指した準備を行うことが重要です。

短答式・論文式を問わず、基本的な条文や判例などにつき広い理解を問う出題となっており、今後もこのことは変わらないでしょう。

丸暗記ではなく、条文の趣旨、判例の射程などを踏まえた上で、具体的な事案に即して自分の頭で考えて妥当な結論を導けるようにするための学習が大切です。独学で準備を進めている慶大生の方は、演習の機会を設け現場で考え抜く力を養うようにしましょう。