iPS細胞 チンパンジーから作成

希少霊長類の保存にも光

慶大医学部生理学教室の岡野栄之教授らの研究グループは、京大霊長類研究所と共同で、チンパンジーのiPS細胞を作成することに成功した。
iPS細胞は再生医療や創薬における切り札として脚光を浴びているが、その利用法はヒトの医療分野に限らない。チンパンジーなど、絶滅の恐れのある希少霊長類からiPS細胞を作成し、保存することで半永久的に遺伝子情報を保存することができる。また、iPS細胞から精子や卵を作成することができれば人工繁殖も可能になる。
また、ヒトに近い大型類人猿は脳神経科学などの研究分野において、ヒトを理解するための重要な研究対象となる。今回は大型類人猿のiPS細胞を作成する初の試みとして、チンパンジー由来のiPS細胞を作成し、また神経細胞に分化させることにも成功した。さらにヒトとチンパンジーのiPS細胞を用いて神経細胞の発生過程を再現し、両者の違いを比較解析することで、ヒトに固有の特徴や能力が生じるメカニズムを解明することが期待されている。
今後は他の希少霊長類のiPS細胞の作成にも着手する予定だという。