塾新・三田祭プロジェクト~予告篇・序

 2006年春—。全てはそこから始まる。

 慶應塾生新聞会は2009年で発足40年を迎える伝統ある学生団体だ。独立採算・公正中立をモットーに学内学外問わず、常に斬新な刺激を与えるメディアとして活動している。絶妙な時代感覚と奇抜な視点、そして若さゆえの力強さ。いまや塾生新聞は塾内最大のメディアにまで発展した。

 そして…。

 2006年、新しく雑誌媒体を製作しようという企画が会の一部を中心に考案された。だが、この企画は様々な障害にぶつかり一度は頓挫してしまう。しかし、諦めずに時期を窺っていた者達がいた。

 06年秋。会執行部の代替わりの際、無鉄砲な輩数人が今期の公約として雑誌発行を掲げた。会はどよめいた。果たしてそんなことが本当に可能なのか。我々はまず新聞でやるべきことがあるのではないか。

そんな懸念をよそに、新雑誌発行プロジェクトは発動してしまう。遅々として決まらぬコンセプト。熱意あるが故のまとまらぬ会議。時間的体力的障害。先の見えぬ不安。雑誌製作は難航した。

 それから約半年が過ぎ、雑誌はようやく一つの形をとり始める。

 これが我々の創っている物なのだ。それは一つの作品であった。創り手一人一人の想いが詰まった作品。単なる情報メディアとしてではなく、そこには我々の熱意が、多少濃すぎるくらいに出ていたのだ。

 発行まで二ヶ月を切り、本家新聞の方で告知広告が掲載される。もう後戻りは出来ない。創り手達の顔に笑顔はなくなり、真剣そのものになる。

 我々は本当にこれを世に送り出すのだ。それが我々の使命なのだ。

 最後の一ヶ月、我々は死に物狂いでDTP作業を進めた。絶望すら感じた。プレッシャーに押しつぶされ、逃げ出したくもなった。涙が止まらなかった。

 07年11月、ようやく雑誌は完成した。この雑誌が世に出るまでもうまもなく。楽しみであると同時に少しだけ怖くもある。我々の情熱が果たしてどこまで伝わるのか。全ては読者諸君の目で確かめて欲しい。

 下らないものを創ったという気はしない。今ある力を尽くし、最高のものを創り上げた自信がある。さぁ、慶應塾生新聞会新雑誌『HR-Hi Rank』プロジェクト最終章、始動である。