11月17日から25日までの9日間、慶應義塾大学日吉キャンパス蝮谷テニスコートで「慶應義塾創立150年記念 慶應チャレンジャー国際テニストーナメント2007」が開催される。

今年、3月26日から4月1日にかけて早稲田大学が、3月19日から25日にかけて亜細亜大学が、それぞれフューチャーズ大会を開催するなど、大学主導の国際テニス大会開催の機運は日本国内においても高まっているが、大学が中心となったチャレンジャー大会開催は今回が初の試みだ。

今大会開催に至った経緯や特徴、そして大会開催に対する意気込みなどを、慶應義塾大学体育会庭球部監督・「慶應チャレンジャー国際テニストーナメント2007」トーナメントディレクターである坂井利彰氏(以下坂井)に伺った。

—まず、今大会開催の経緯をお聞かせください。
坂井 2008年、慶應義塾は創立150年を迎えます。この記念すべき年を迎えるにあたって、慶應義塾大学庭球部として何ができるのか、と考えたときに「慶應義塾大学庭球部から世界に通用する人材を生み出す」、そのためにこういった国際大会を開催したいという思いに至った訳です。強いテニスプレーヤーを輩出するのはもちろんですが、もう一つの側面としてテニスを通じて国際的な視座を得た人間が社会に出て、様々な分野で活躍してほしい。今大会も学生が自主的に運営し、海外の選手とも接点を持ったりするわけですが、そういった経験が将来彼らの人生に役立ってくれればいいなと願っていますね」。

—要は、今大会を通じて各人が広い視野を獲得して欲しい、と。
坂井 私自身、4年間プロテニスプレーヤーとして世界各国を転戦する中で、「世界の中の日本」というのは本当にちっぽけで、日本の常識は世界の非常識なんだなってことを痛感しました。

—そういった状況下で、慶應義塾自ら先頭に立って、「世界の舞台」を作り出す。
坂井 そうです。今大会の開催は、日本テニス界への慶應義塾の貢献であると同時に、「社会の先導者」たる慶應義塾にとっても、非常に意義深いことだと思いますね。

—今大会の特徴は。
坂井 そもそも「チャレンジャー大会」というのは、世界ランキング百位から三百位程度の選手が参加する大会のことを言います。今回は、日本からも鈴木貴男選手や添田(そえだ)豪選手、本村剛一選手など、プロのトップ選手が参加します。アジア・欧州・北米・中東・アフリカなど世界各地域から選手が集まることで、非常に国際色豊かな大会となっています。

—今大会開催の意義はどこにあるのでしょうか。
坂井 今大会で、1ポイントでも多くATP(Association of Tennis Professionals)ポイントを獲得することが、世界ランキングを上げることに繋がります。世界ランキング百位以内に入ると今度はグランドスラム(全英・全豪・全米・全仏の4大会)の本戦に参加する権利を得ることができるんです。今大会に参加している選手は皆世界ランキングを上げたいと考えており、そういった意味では彼らに世界ランキングを上げる機会を提供することになるでしょね。

—しかも、今大会は「日本開催」ということで、日本の選手たちにとってもメリットが大きい。
坂井 やはり海外を転戦するとなると交通費・宿泊費も嵩みますし、その他時差や食事等さまざまな問題に直面します。国内で国際大会が開催されると、そういった問題も解決されると同時に、ホームアドバンテージもあってATPポイントは取りやすいですね。

—元プロテニスプレーヤーとして、今日本の選手たちに求めたいものとは何でしょうか。
坂井 「自分の中のナンバーワンを目指せ!」。この一言に尽きます。これは、私が現役時代指導を受けていたボブ・ブレッドコーチ(ボリス・ベッカーやゴラン・イバニセビッチら、世界のトップに上り詰めた選手を育成した敏腕コーチ)に常々言われていたことです。私も彼の教え子であるマリオ・アンチッチと共に練習や試合をしていたわけですが、彼は日頃の生活から「自分の中のナンバーワン」を追求していたんですね。自分のできる範囲内で最大限の努力をする。そして、その中で何が得られるか。日本の選手たちにも、「結果は必ず後からついてくるんだ」というハートの強さを是非身につけて欲しいと思います。

—トーナメントディレクターとして、今大会開催に対する意気込みをお聞かせください。
坂井 今回の慶應チャレンジャー大会の開催に当たり、学生と共に塾庭球部OBの方々の協力は非常に心強く感じていますし、慶應義塾が日本の(学生)テニス界にどういった貢献ができるかが問われている今、何としても今大会を成功させたいと思っています。慶應の選手にも、世界に通用する選手になるためのきっかけを掴んで欲しいですね。大会を通じて「世界基準」というものを、皆さんの肌で感じてもらえたらと強く願っています。

(安藤貴文)

☆慶應チャレンジャー国際テニストーナメント2007 公式サイト
http://www.keio-challenger.com/