《本屋の行方》MOUNT ZINE カテゴリーを超えて、面白いを実践

本屋の行方

店内に並べられたZINE

情報通信技術の発達により、大量の情報が流通している現在。ほとんどのことはネットで調べられるが、狭く深い情報は手に入りにくいことが多い。そのようなニッチでマニアックなことを扱った紙媒体として、「ZINE」がひそかに注目されている。

MOUNT ZINE代表の櫻井史樹さん

東京・目黒にあるZINEの専門店、MOUNT ZINE代表の櫻井史樹(ふみき)さんによると、ZINEとは個人や少人数で制作される、少部数で非商業的な出版物のことを指す。同人誌と明確な線引きはないが、「ZINEの場合は、写真やイラストが主のものが多い感じがする」そうだ。

MOUNT ZINEがスタートしたのは2011年のことだ。当初、櫻井さんはその名称を用いてZINEのイベントを行っていたが、イベント自体は短期間で終わってしまう。誰でも気軽にZINEを作って常に発表できる場を設けたい。また作り手側もそのような場を求めていた。この思いとニーズに応える形で、翌年MOUNT ZINEは現在のような実店舗となった。

MOUNT ZINEは、春と秋に行う年2回のイベント前にZINEを募集している。イベント終了後、出品された作品はショップやウェブで半年間展示・販売される。特筆すべきは、審査がないため一切内容を問われないことだ。ZINEの魅力はその自由性にある。非商業物であるため、作り手は自分の作りたいものを自由な発想・体裁で実現することが可能だ。

MOUNT ZINEは、多くの人にZINEの面白さを知ってもらうために意欲的に活動を行っている。ZINEスクールの開催はその一つだ。ZINEの制作を学びたい人に対して、4回の講義で実際に一人一人ZINEを作っていく。完成させた作品は最終的にイベントに出品される特典付きだ。

また、学生との連携にも積極的だ。学生が作ってエントリーしたZINEを、ショップのライブラリーで展示したり、提携している学校で巡回展を開催したりしている。慶大は提携校ではないものの、塾生はZINEを発表することができる。

MOUNT ZINEはZINEをメインに据え、またそれらは出版業界とは直接関係のない一般の作り手が担っているという点で、これまでの本屋の形態と一線を画す。「自分たちは本屋をやっている意識があまりない。本屋というカテゴリーにこだわる必要はなく、いろいろなことを本に混ぜていけば良い。面白いことをやりたいという精神があれば、(本屋は)残っていくと思う」と櫻井さんは語った。
面白いことをしたい。それはZINEの作り手たちもまた考えていることだ。ネットでは見つからない無限の面白さ。あなたもZINEを手に取って探してみてほしい。

(曽根智貴)

MOUNT ZINE

東京都目黒区八雲2-5-10(最寄駅:東急東横線都立大学駅)

営業時間:12:00~19:00 定休日:月曜日・火曜日


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