喊声

喊声 6月号

「日本では全国民が美的感覚を持ち、庭園の庵や置き物、日常用品、枝に止まる小鳥にも美を見出し、最下層の労働者さえ山水を愛で花を摘む」▼明治時代初期に来日したフェノロサが記したとされる言葉である。明治維新中に西洋文明がもてはやされる一方、廃仏毀釈運動が起こるなど、日本の伝統美術は荒廃していた。そのような状況下で彼は日本画を高く評価し、復興運動に尽力した▼異国人が日本のことを想ってくれる。これは勇気をくれるし、自信にもなる。米国生まれの日本文学者、ドナルド・キーンが東日本大震災のあと「日本に対するせめてもの恩返し」として、日本国籍を取得したことは記憶に新しい▼最近の若者は、留学者の減少傾向などから内向き志向だとしばしば言われる。どうせならとことん内向きになってみるのはどうだろうか。世界でも憧れられる存在としての日本をもっと知っていきたい▼日本は島国だ。強い意志を持って内に進んでいけば必ずや海に出る。その過程で日本人としてのアイデンティティーを獲得した者の眼前には広大な海とともに無限の可能性が広がっていることだろう。船出の準備が整えば、あとは出航するのみだ。(平島海)

関連記事

  1. 【多事創論】これからの大学教育を考える 東北大学総長 里見進氏
  2. 【こちら三田探偵事務所】集めましたよ…コアラのマーチ○○種類!
  3. 【人工知能の行方③】進化するAIと雇用
  4. KEIO150 第三部 先導者の足跡(1) ~三田キャンパス萬来…
  5. 学部長に聞く。その6~文学部長 長谷山彰君
  6. 【矢上が創る未来】電子工学科 黒田忠広教授
  7. 【喊声】1月号
  8. 学生時代の必読書を教授が指南~総合政策学部教授・青木節子君
PAGE TOP