慶應塾生新聞会 三田オフィス

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《喊声》2020年10月

ブルーライトカット眼鏡を買った。授業、サークル、インターン。あらゆることがオンラインで行われるようになり、便利さを感じる一方、人に会えない寂しさがある。何より、目が疲れる。疲労に耐えかねて、急いで眼鏡を買いに行った。

ブルーライトカットのレンズはわずかに色が付いていることが多い。眼鏡をかけた瞬間は世界が黄みがかって見えるのだ。しかし、ものの1分も経てばその視界に慣れ、何も感じなくなる。眼鏡を外してようやく、実際の世界は今まで見ていたよりもずっと白く、明るいことに気付く。

「色眼鏡」という言葉がある。「決めてかかった、ものの見方。先入観」(三省堂国語辞典第七版)と比喩的な意味にも用いられる。私たちは意図せずとも常に色眼鏡をかけて生活している。「色眼鏡をかけるのはやめよう」と言う人もいるが、先入観を完全になくすことはできないと私は思う。それまでの人生で体験したこと、見聞きしたことの全てが色眼鏡のレンズに影響している。母語さえも。

私は日本語という枠組みを使って世界を見ている。それをやめることができないのと同じように、色眼鏡自体を外すことは不可能だ。必要なのは色眼鏡を外すことではない。自分がどんな色の眼鏡をかけているか知ろうとすることである。他者が世界をどう見ているのかを観察したり、自分に対する他者の反応を分析したりすることが自らのレンズの色を知る一歩となる。

色眼鏡は、外すことのできるブルーライトカット眼鏡とは違う。色眼鏡をかけたままであっても、世界の実際の色を想像できる人間が増えることを願う。

(濱田安里子)