学習相談利用のすゝめ

新入生含む塾生の皆さんは日吉メディアセンターの「学習相談」をご存じだろうか。学習相談は「アカデミック・スキルズ」という授業を履修した塾生が、メンターとして学習の相談に乗ってくれるというサービスだ。「教員に相談をするのはちょっと気が引ける…」という塾生には、非常にありがたい。

相談では「教える」というより「何を悩んでいるかはっきりさせてアドバイスする」というスタイルで塾生の悩みにこたえる。具体的な相談内容で多いのは、レポートの問いの立て方や構成の組み立て方、引用方法や参考文献の書き方など、さまざまらしい。

また、学習相談以外の相談も受け付けている。隣のレファレンスデスクでは、KOSMOS(コスモス)やCiNii(サイニー)などを使った資料の探し方に関するアドバイスを受けられる。さらに、隣のスチューデントヘルプデスクでは、大学設置のパソコンやプリンタ・スキャナの使い方などを教えてくれる。ちなみに、これら三つの相談窓口をまとめて、「スタディサポート」という。

コロナ禍を経て、学習相談の利用件数は回復しているという。昨年の4〜5月は、学習に関する相談の利用件数が30件だった。試験前の6〜7月は、60件だったという。日吉メディアセンターの朝比奈さんは、「困っている学生たちがまだいると思うので、頼っていただければ」と更なる利用を期待する。また、新入生に向けて「不安でいっぱいの新生活だと思うが、勉強面の不安であればスタディサポートでできる限りサポートしたいので、困ったことがあれば相談に来て」と語った。

現在、学習相談を利用できる時間帯は、平日と授業のある休日の11:45~17:45となっている。質問したいときに日吉メディアセンター1階のデスクに直行して構わないそうだ。また、日吉メディアセンターのホームページから予約することもできる。

学習相談は公式SNSも運営している。貴重な情報を発信しているので必見だ。

 

Instagramアカウント:https://www.instagram.com/keiogakushusoud

X(旧Twitter)アカウント:https://x.com/keiogakushusoud

Xアカウント(日吉メディアセンター):https://twitter.com/hysmedia_keio

日吉メディアセンター1階で行われている

 

チュートリアルアワー 理工学部1年生をサポート

理工学部基礎教室が提供しているサポートに「チュートリアルアワー」がある。チュートリアルアワーについて、理工学部 学習指導主任(基礎)の横森剛教授に話を聞いた。

 

Q1. チュートリアルアワーはどのようなサポートを提供していますか?

A1. 授業形態として基礎的な学問を勉強する位置づけです。そうなると、1年生は必修科目として数学、物理、化学、情報学といった理工学系で大切な科目を勉強します。大学の授業形式としては座学中心ですが、授業をただ聞いているだけでは、基礎科目に関する理解が不十分な学生が出てきてしまう場合があります。その際、先生やTAに聞くことができない学生たちのために、チュートリアルアワーにて、授業の内容だけでなく、数学全般に関わるようなことを質問できるような場を提供しています。具体的には、最近は対面形式で、週に1回、1〜2時間半程度、日吉にて、実施しています。チュートリアルアワーでは、1・2年生が自由に参加でき、その場で大学院生(博士)が学習の手助けをしてくれます。授業以外の内容を質問してくる学生もいるので、そういったことにも対応できる学生を割り振っています。専門性のある方たちが対応してくれるため、教員に質問するのと近い感覚で、相談することが可能です。

 

Q2. 答えに至るまでの道筋を一緒に考えてくれるのでしょうか?

A2. そうですね。学生が質問に来たときには、机上で紙に書き提示するなどして、一緒に考えてくれます。

 

Q3. 相談内容は、授業で分からない問題に関する質問が多いのでしょうか?

A3. はい。授業の内容が分からなかったときに、それに追いつきたいという思いから、チュートリアルアワーに参加する学生が多いですね。その一方で、過去のチューターの報告を見ると、科目に関係するが、授業から少し逸脱した内容を質問する学生もいました。 授業以外のことに興味を持つ学生も多い印象です。例えば、物理の分野では、宇宙に興味を持った学生が、宇宙に関わるような物理現象について、授業では解決できないような内容を聞いてくることもありました。授業は教科書に沿った内容が前提になりますが、学生にとってはテキストに載っていないようなことを聞きたくなる場合もあり、チュートリアルアワーではそういったことにも対応できるようにしています。

 

Q4. 1年間における、チュートリアルアワーへの参加人数はどれくらいなのでしょうか?

A4. 年や科目にもよりますが、2023年のデータを見ますと、以下の通りです。

 

〈春学期〉

数学 185名

物理 30名

化学 78名

情報学 24名

 

〈秋学期〉

数学 104名

物理 40名弱

化学 40名弱

 

Q5. 相談者が増える時期はいつ頃ですか?

A5. 一番多いのは期末 試験前です。科目によっては、中間試験があるため、その前の期間も増えますね。

 

Q6. チュートリアルアワーの運営にあたって、何か工夫していることはありますか?

A6. 対応する学生が博士を前提としているので、質問に対してきちんと回答できるレベルの高い体制になっています。そして、試験前の混雑期には、臨時チューターを別途投入して、できる限り丁寧に回答できるような体制をとっています。そのほかには、化学の分野では、過去にあった質問をwebに掲示板のような形式で掲載しています。そうすることで、それを参考にして、自分の質問をより明確にすることができるかと思います。

 

Q7. いつからチュートリアルアワーは始まったのですか?

A7. 2009年からやっています。大学の授業は高校のものとは大きく違うため、新入生は新しい環境に戸惑うことも多いかと思います。 そんなときに、気軽に分からないことを質問できる場を提供できるよう、このシステムが作られました。学習意欲を持ってもらうことが、この場での目的です。

 

Q8. どのようにチューターを選んでいるのですか?

A8. その科目を担当している先生が、担当する大学院生それぞれの専門を基準に選んでいます。

 

Q9. 新入生に向けてメッセージをお願いします

A9. 理工学部のカリキュラムには、1年生で基礎をきちんと学んで固めてもらうという意図があります。そのため、分からないことがあれば、積極的にチュートリアルアワーを利用し、自分の学習向上に利用してください。年齢の近い大学院生も多いので、気兼ねなく質問できると思います。ぜひとも遠慮せず、積極的に利用してほしいです。

 

TA・SA制度 半学半教の理念をもとに

ここまで紹介した制度のほかにも、学部・授業によってTA/SAが置かれることがある。TA/SAはそれぞれティーチングアシスタント、スチューデントアシスタントの略で、教員とともに大学院生や学部生が授業の補佐を担っている。TAは大学院生が務め、理系科目をはじめとする一部科目で置かれている。SAは学部生が務め、主にSFCの一部科目で設置されている。

では、TA/SAはどういった場面で学生の手助けをしているのだろうか。TAを務めたことがある大学院1年の学生に話を聞いた。

 

「まず、TA/SAの役割として、授業内での理解支援が挙げられます。授業中に理解できない部分や疑問点が生じたとき、教員に質問することが困難でも、TA/SAに質問することで即座に解決できます。大学の授業では、専門用語や複雑な概念が出てくることも多々あり、疑問が生じたときには、すぐに解決することが望ましいです。また、TAは大学院生が務めるため、専門性の高い回答が期待できます。」

「さらに、授業によっては、メールやK-LMSを通じて、いつでも質問を受け付けていることもあります。そのため、授業外であっても、手厚いサポートを受けることができます。」

このように、TA/SAは、学生がより深い学習をできるよう促す役割を果たしているようだ。ほかにも、学習内容に直接つながること以外の相談に乗ることもあるという。

「TA/SAは学生と年齢が近く、身分としても同じく学生であることから、授業内容そのものだけでなく、試験勉強の進め方や、レポートの書き方など、学習において行き詰まりやすい点についても、手助けを受けられることもあります。」

特に大学での学び方に慣れていないことも多い新入生にとっては、心強い味方だ。

 

このようなサポート体制から、慶大の「半学半教」の理念が大切にされていることが分かる。TA/SAは学生の学習をサポートする重要な存在であり、積極的に利用することで学習効果を高めることができる。大学に入ったばかりで戸惑っている新入生の皆さんは、ぜひ活用してみてはいかがだろうか。

 

※TA/SAの役割や対応している相談内容は、授業によって異なる場合があります。

 

米山友朗岡崎咲諭田畑海登