4月から新生活が始まり、高校時代とは一転した活動を行おうと胸を躍らせる新入生も多いことだろう。たしかに、大学生は高校時代と比較して選択肢や自由な時間も多く、積極的な側面が強調される。その一方で、性暴力には注意が必要だ。自分が被害者になるだけでなく、知らず知らずのうちに相手を傷つけてしまう可能性もある。性暴力については大学内でも周知がされているが、性暴力の範囲について細かく理解ができているだろうか。新入生だけではなく、在学生も今一度、性暴力についての理解を深める必要がある。

慶應義塾大学の未公認団体であるSafe Campusは、2019年から「サークル内での性暴力の防止」「性暴力に関しての注意喚起の授業の設置」「新入生に対してのオリエンテーションの働きかけ」の3つを挙げ、慶應義塾大学の学生を守ることを目的の中心として、ワークショップやロビイングの活動を行っている。

2019年から、本団体が作成した啓発動画が全塾協議会内で體育會の主将が確認することを義務化されるなど積極的に活用されている。2022年5月からは、全塾協議会に所属する団体代表者へ、Safe Campusが行うワークショップ受講が義務付けられており、2023年10月からはオンデマンドでの受講に切り替えがされた。

本団体は特に「性的同意の概念を広める」点に重点を置く。そもそも、内閣府において性暴力は本人の同意の有無によるとされる。しかし、その定義は実際に刑法によって処罰される性暴力とは大きな乖離がある。我々は後者についてだけの理解をしようとするが、処罰の対象となるもの以外であっても、性暴力は被害者にとって大きな精神的身体的被害を負わせる。そのため、Safe Campusは言葉による明確な確認が必要不可欠である旨を強く主張する。

大学生活で特に注意が必要なのは、お酒が入る場面や先輩後輩関係の中で断りにくい雰囲気が醸成された場面である。そもそも、加害の責任はいかなる場合でも加害者にある、とSafe Campusの本田さんは言う。そのため、被害者は何ができるかではなく、第三者が安全な環境を作ることが重要である。

性暴力の被害は身近にある。どんな場面でも、特に4月に開催される新入生歓迎会においても、言葉による同意を取ってから行動することや、性暴力は異性間によってのみ行われるなどの偏見を持たないことが不可欠なのだ。全員が第三者の意識を持ち、加害者・被害者を生まないための努力が求められる。

ワークショップにおいて使用されている、Safe Campus製作の性暴力に対する啓発動画は同団体のユーチューブ、全塾協議会HPから確認できる。

Safe Campus ユーチューブ:https://youtu.be/8VuWQXnpd6g?si=CKvmy3wEcdV9WlVu

山本唯那