慶應には、400以上もの個性あふれるサークルが存在する。この連載では、活動の中心である代表への取材を通して、サークルの魅力に迫る。

〇サークルの概要

ライチウス会。塾生諸君はこの名前を聞 いたことがあるだろうか。1930年創立、来 年で90周年。歴史ある、慶應唯一の公認ボ ランティアサークルである。代表の岡本さ ん(政2)に話を聞いた。 サークルに所属する所属する人数は各学 年20人と比較的小規模。少数精鋭で、毎週 自分の担当する児童養護施設か障がい者施 設に行き、子供たちの学習支援をするのが 主な活動だ。夏休みはサマーキャンプで重 度の障がいを持つ方々のサポートをする。

〇代表岡本さんの信念

ライチウス会で活動を始めてから、1年半 が経ち、岡本さん自身の考え方が変わった という。「養護施設はイメージとは違った 。第一にきれいな施設が多い。明るい子も 多い」と語る。 新たに見えてくるものもあった。「18歳 になると子供たちは施設を出なくてはなら ない。日本の大学進学率は約57%だが、養 護施設を卒業し、大学へ進学する割合は 12%だ。活動して初めて自分の大学生活を 見直した」と岡本さんは語る。「勉強をし たくてもできない子がいる。恵まれた環境 にあるのに勉強をしないのは違うと思った 」 真剣な表情で考え、真摯に答える姿勢が ひときわ印象的な岡本さん。ボランティア に励むうえで意識しているのは、子供たち と信頼関係を築いていくために一語一句を よく考えて話すことだという。複雑なバッ クグラウンドを持つ子供たちを相手にする 現場では、軽い一言で子供たちを傷つける わけにはいかないのだ。

〇ライチウス会のこれから

創立90周年を目前にして、ライチウス会は変化を遂げるべき時期だと岡本さんは考える。これまでは、連携する施設数とサー
クル入会者のバランスを考慮したり、毎週必ず活動できる人のみ入会を許可したりと、活動にブレーキをかける要素も多かった
。今後、どうすれば少しでもボランティアに参加したいという塾生の力になれるか。そして慈善活動に決して積極的と言えない
慶大の潮流をどう変えるか。「自分たちがボランティアをするだけでなく、多くの人にボランティアの情報やきっかけを提供す
る組織に変化する必要性も感じている。動機は何でもいい。一歩踏み出して参加してみる。自分が恵まれた環境にいることを自
覚して世の中のために行動を起こそうとする人が増えてほしい」と力強く語る。自分の行動で喜んでくれる人がいる。そんな幸せに触れた瞬間の感動は当人にしかわからないだろう。そんな感動を広めよう。その思いでライチウス会は今日も活動する。

(河野優梨花)