慶應義塾大学病院小児科(教授:高橋孝雄)にて、帝王切開により268gで出生した男児が今年2月、生後5か月で同院新生児病棟(有光威志助教、飛彈麻里子准教授、勝又徳子師長)を退院した。
大きな合併症もなく退院した男児としては当時世界最小であった。

出生後は全身管理を行うため、専門の異なる様々な診療科の医師や看護師らで構成されるチームが、赤ちゃんの治療にあたる。
産科・小児医療は高度医療であり、多くの関係者によってはじめて成功する集学的医療なのである。

300g未満で出生した赤ちゃんの救命は非常に難しく確立した治療がないため、一人一人に応じた治療が行われる。
身体が小さいことにより大人と同様の検査や治療が出来ない代わりに、細かく診察するなどの対応がとられる。

どのような赤ちゃんにも身体の成長や発達には個人差があり乳児健診を受けるが、低体重で生まれた赤ちゃんは個人差が大きく、退院後に一人一人発達の様子を見守り、サポートを続けていく必要があるという。

今日も新生児の治療成績は向上しており、中でも日本は世界トップレベルの成績を誇る。
今回治療にあたった診療チームの有光威志医師は、「生まれた体重が小さくても、元気に過ごせる可能性がある。お子さんとご家族の健やかな生活を支えたい」と語った。

(柴田美羽子)