左から相原隆二COO、鈴木優太CEO
左から相原隆二COO、鈴木優太CEO

後日、筆者が体験した完全食を製造している株式会社COMPを訪問した。
日本発の完全食はいかなる経緯で製造されたのだろうか。商品開発を主導した鈴木優太さんと相原隆二さんに話を聞いた。

完全食を製品化するきっかけとそのみちのりは?

鈴木:アメリカで販売されている完全食Soylentに着想を得ました。もともと会社の研究職についていたのですが、自分のQOLはゲーム作りなど好きなことをしているときに高くなっているという実感がありました。そういうことに没頭すると食事は面倒だし、かといってコンビニのお弁当ばかりだと健康に良くない。少しまえまで「それさえ取っていれば健康でいられる」という製品はなかったので、2013年ごろにSoylentが出てきて、これが自分の求めていたものだと運命を感じました。

しかし、Soylentはアメリカとカナダでしか販売されておらず、個人で輸入するにしても関税や重量の問題で値段が高くなってしまうことがわかりました。そこでSoylentが公開していた材料を使って自作してみることにしました。試行錯誤を重ね、WEBで発表すると多くの人から反響をもらったのでCOMPの前身であるXiNADAを製造して販売を始めました。

もともと自分のサイトをみていた相原に誘われて上京し、起業したのが去年の10月13日です。

それから生産量を100倍にすることをめざし、クラウドファンディングでお金を集めて食品会社と生産の契約をしました。COMPができたのが今年の3月ぐらいになります。

男性が一日三回に分けて摂取すると目安量から換算して一食あたり500円を超えてしまうが、今後コストダウンは可能か?

相原:大いにありえます。しかし私達は品質を重視してよいものを原材料に使っているので、現在の値段は妥当だともいえます。

鈴木:たとえば砂糖が多く入っている食事を取ると血糖値が急激に上がってしまい、体に良くありません。そこで私達はパラチノース(注1参照)という血糖値が上がりにくい糖質を使うことにしました。これは炭水化物の30%を占めているのですが、普通の砂糖に比べて数倍の値段がかかってしまいます。さらに初期の試作品ではおなか周りの不調が起こりやすかったため、アカシア食物繊維を入れることにしました。最近、難消化性デキストリンなどの食物繊維を含んだ製品は多くありますが、これは多く摂取するとおなかを下しやすくなってしまいます。アカシア食物繊維ではそれがおこりにくいのですが、これも普通の食物繊維に比べて値段が高くなっています。

「栄養に偏りがない」ことが売りの完全食だが、だれか一定期間それだけで生活したことはあるのか?

鈴木:私は試作品の段階から含めて3ヶ月くらい自分の作った製品だけで生活しました。体の不調も今のところありません。ファストフードなどの偏った食生活をしていると体がだるくなったりしますが、完全食をとるようにしてからは体調がいいです。実は大手食品メーカーからの協力も頂いているため、品質面には自信があります。
今後、製品展開が変わることはあるか?

鈴木:起業ということで最初に作る製品を絞る必要があったので、影響を受けたSoylentと同じように粉末の形で製品化をしました。味も今はプレーンだけです。これがベーシックな形だと思ったのでそうしました。

相原:今後色々なレパートリーを増やしていくことは考えています。
現在、問い合わせが殺到し、生産が追いついていない完全食COMP。今後どのように市場を拡大していくのか目が離せない。

注1、パラチノースの吸収モデル
注1、パラチノースの吸収モデル

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