かるたお正月の遊びといえば、羽子板、凧揚げ、福笑い、それにかるた。年明けには親戚など皆で集まり、かるたをする人も多いだろう。






そのかるたで本気の勝負をするのが、競技かるただ。正座して静かに相手と向かい合う。句が読まれるや、一瞬のうちに目にもとまらぬ速さで札へと手を伸ばす。その動きの激しさから、しばしば「畳上の格闘技」とも形容される。

そんな競技かるたに打ち込む塾生がいる。浜野希望さん(総2)だ。慶應かるた会に所属し、今年8月の大学選手権では個人戦で大学生日本一、団体戦ではベスト8入りを成し遂げた。

小学校に大学生が教えに来たことがきっかけで競技かるたの存在を知り、実際に始めたのは中学生の時だ。中高ともに学校にかるたの部活がなく、毎週土曜日は京都の自宅から滋賀県のかるた会へ通い、朝から夜まで練習していたという。平日には京大などの練習に参加することもあった。

 

「競技かるたで強くなるためには、試合経験を積むことが一番大事」と言う。だから練習では、ひたすら対戦をする。自分の足りないところを発見しては直し、技術を高めていく。
 現在は週3回の慶應かるた会での試合のほか、他大学や社会人チームの方とも練習する。試合経験の場を増やすことにも余念がない。

自身の強みについて、浜野さんは「速いことがすべて」と断言する。音に対する反応の速さは、どんな対戦相手も驚かせてきた。また、メンタル面の強さも大きな武器となっている。「練習よりも大会のほうが断然強い」と、自他ともに認めるほど勝負には強い。本番で観客がいても緊張することはないという。

「かるたを続けるなら目指すべきところは名人。それに向けてかるたをしていますが、簡単に手の届くようなところではない」。今はできることをしていこうと、大学選手権2連覇を目標に掲げている。また、「自分が中心となって慶應かるた会を強くして、団体戦でも優勝を目指せるチームをつくりたい」と頼もしく語ってくれた。

地道な練習の積み重ねが、瞬発力、記憶力、集中力を少しずつ磨いていく。浜野さんのこれからに期待したい。(青木理佳)