【500号Project 伝‐慶應の足跡‐】ラグビー日本代表主将 廣瀬俊朗選手

1981年10月17日生まれ。大阪府立北野高等学校、慶應義塾大学理工学部卒業。大学時代は3回大学選手権に出場。2001年にベスト4入りを果たす。ポジションはウイング(WTB)。卒業後は、東芝ブレイブ・ルーパスに入団。2007年に日本代表に選出され、12年に主将に任命される。

あなたは「伝」という漢字に何を思うだろうか。伝達、伝説、伝統…。今年7月に迎える塾生新聞500号を記念して、「伝」をテーマに社会で活躍されている慶應義塾と所縁ある人物に焦点をあてていく。
7回目は、東芝ブレイブ・ルーパスに所属しラグビー日本代表の主将を務める廣瀬俊朗選手だ。

日本を感化させる塾員ラガーマン
私たちはスポーツからたくさんのものを得る。それは感動からはじまり、喜びや笑いなどさまざまだ。昨年6月には、2年連続ヨーロッパ王者のウェールズ代表を相手にラグビー日本代表は初勝利を収め、日本中に感動を与えた。そんなラグビー日本代表の主将を務めているのは、慶大理工学部出身の廣瀬俊朗選手だ。

チームを引っ張っていく上で彼がまず心掛けていることは、「自分から率先して行動することと、みんなを信頼すること」だ。試合前日にチーム全員で輪になり靴磨きをしながら、たわいもない話をして空気を和ませる。チームを好きになることで、もっと仲間のために頑張りたいという思いをわかせる。何気ないところでこのようなマネジメントを仕掛けるようにしていると廣瀬選手は話す。

これには慶應で過ごした4年間の経験が影響しているという。大学時代に共にプレーしてきた仲間は、それぞれの道に進んだ今も試合を見に来てくれる。お互いに刺激し合う、そのような今でも変わらないチームのロイヤリティーが今も廣瀬選手の役に立っている。

そんな廣瀬選手が考えるスポーツの伝える力とは、「選手の優れた身体能力が人々を感化させること」。たとえば、応援しているチームが勝った時の喜びは、普段の生活では得られない感情の起伏を生む。それに加え、勝利による喜びで人々が一つになれる場を作ることもできる。ウェールズ戦での勝利についても同じようなことがいえるだろう。主将としてチーム、そしてファンの人々を思い、練習を重ねて得た勝利が日本中を感化させた。「日本のお客さんの前で勝つことが出来て良かった。良い準備をしてきた成果だ」と廣瀬選手は話す。

またスポーツを通して廣瀬選手が伝えたいことがあるという。それは自分たちの頑張っている姿を見た人々が、前向きな気持ちになるような「原動力」だ。今年で3・11から3年が経つ。それに対して彼は「被災地の方が頑張ろうと思うきっかけになれればいい」と話す。これから2015年のW杯予選に向け、たくさんの試合があるが、そこで成果を出していくというのは、人々の原動力にいずれ繋がっていくだろう。廣瀬選手も「日本代表が成果を出していくというその全てが、W杯への準備です」と今後の抱負を語る。

このように慶應で過ごした日々を活かし、日本に感動や喜びを伝えた主将、廣瀬選手。大学時代を振り返るにあたって彼が塾生に残してくれたメッセージは、「可能性のある4年間だからこそ、いろいろチャレンジして、最終的に自分が何をやっていきたいかという道筋がみえればいい」。彼自身は大学の最後に、もっとラグビーをやりたいと思ってスポーツの道を選んだ。4年間、慶應でラグビーを頑張ってきたからこそ見えた道だろう。廣瀬選手は冷静に語りながらも、スポーツへの熱い思いを伝えてくれた。 (増田絢香)