社会にインパクトを与える若者たち

あなたは「伝」という漢字に何を思うだろうか。昨年9月号より社会で活躍している人物に焦点を当ててきたが、新年号では本年のこれからに希望を込め、将来が期待される「金の卵」を塾生から発掘する。

学生時代から夢の実現のために突き進んできた彼らが塾生に「伝」えることとは。(井上絵梨・下池莉絵)


<本来のサービスをデザイン 實川尚さん>


實川尚さんは、4月からリクルートホールディングス(web人材採用)に採用が決まっている。「やりたいことを1年目からやっていい」と企業に約束してもらえる人材とはいかなるものか。

―夢を持つきっかけ
大学入学後、どのようなサークルがあるのか見ている時に、サークル本位の勧誘が多いことに疑問を感じました。だから、新入生とサークルが同じレベル感で出会う場を目指して、イベント運営団体「CandyCandy」を立ち上げました。

また現在は、自分がインターンや就職活動時に感じた問題意識を出発点に、「StuCon!(スタコン)https://stucon.jp/」という、学生のための新しい実践演習の場を提供するWebサービスを運営しています。

ものやサービスの本来のあり方、つまりものやサービスは「そもそもどうあるべきか」をデザインすることをやってきたと思いますし、これからも続けていきたいと考えています。そんなところにリクルートホールディングスからお声がかかり、「1年目からやりたいことをやっていい」という約束のもと、就職を決心しました。

―社会に出てしたいこと
「ドラえもん」の世界を現実でも自然なことにしたいです。日常生活で感じる不便や面倒臭さをITの力でゼロにして、思ったことを誰でもすぐ実現できちゃう世の中にしたいです。

その一歩として、IT、Webサービスを通じて、素敵なユーザー体験をユーザーに気付かれずにつくりたいと考えています。その気付かない内に体験していることがたくさん繋がって、大きな体験になってほしいです。

―大切にしていること
常に思っているのは、「IT’S A MIND GAME」。何事も思い込み次第でどうにかなります。

小学生の頃、担任の先生に「才能の出し惜しみをしている」と指摘された時に初めは嫌悪感を持ちましたが、母の教えもあり、逆に自分には才能がある、と思い込みました。他にも失敗したかな、ということがあっても思い込み次第でプラスに転じます。

―メッセージ
就職活動だってマインド・ゲームです。よく考えると、一流企業の偉い方が自分のために時間を割いてくれるなんて、この時期しかないかもしれません。そのための準備をすると思えば、きっと楽しめるはずです。


<ラクロスW杯に出場 小川絵里子さん>
ラクロス日本代表としてW杯に出場した小川絵里子さん。「大学生活は97%ラクロスだった」という彼女は、今年4月からメーカー企業に就職する。彼女の4年間を支えていたものとは。


―ラクロスとの出会い
中学ではテニス、高校ではサッカーをしていたので、親に「大学ではかわいいスポーツをしてほしい」と言われて、その候補としてラクロスが挙がりました。

高校でやっていたサッカーも大学入学当初は気になっていましたが、部員数が多くて雰囲気がよく、日本一への可能性が高いラクロス部を選びました。

―続けてきた理由
基本的に「辞める」という選択肢は私の中にはありません。1年生の時、初心者同士の同期よりも上達が遅かったりしたことは辛かったですが、そこで辞めようとは考えませんでした。

―そして日本代表へ
1年生だけで行われる大会で目に留めてもらって関東選抜チームに入り、2年の時にはU―19の日本代表になりました。

2年の冬にフル代表の選考が行われましたが、その時は一回目で落とされました。しかし3年の時、慶大ラクロス部の全日本大学選手権での優勝をきっかけに再び選考へ。

そして4年の7月、今度は社会人も含めた日本代表に選ばれ、W杯に出場しました。

―これから
身近なものをつくることに興味を持ち、メーカー企業を志望しました。
就職後も、ラクロスは続けていきたいですが、勤務地などの状況によりますね。悩んでいます。

―大切にしていること
目標を設定して、達成されたら自分は努力したと思うし、逆に達成されなかったら努力が足りなかったと思います。しかし「報われない努力はない」という言葉を信じ、努力を続けていきます。

―メッセージ
信念を持つことが大事です。信念がない人は見つけるところから、信念がある人はそれに向かって努力してください。逃げないでやり続けることに意味があります。


<リーディング大学院に所属 安藤大佑さん>


リーディング大学院をご存知だろうか。文部科学省に公認された次世代人材育成のための教育プログラムである。

慶大で採択されたオールラウンド型リーディング大学院は、文理融合をキーワードに、5年間で2つの修士号と 1つの博士号を取得するというプログラムで構成されている。慶大の全研究科から選抜された少数の人しか受けられないこのプログラムに所属する安藤さんにお話を伺った。

―将来の夢
夢は、大学で培った力を活かしてシリコンバレーで起業することです。世界で働く日本人に憧れを持っています。きっかけはサンフランシスコでのインターン経験です。日本よりも、技術者や博士号を持つテクニシャンの価値をしっかりと認めてくれる点に魅力を感じました。

―大切にしていること
ユーモアを持って何でも楽しんでやることを大切にしています。辛かったり苦しかったりした時は特に、楽しさがなければやっていけないと思います。同じ事をやるにしてもユーモアの有無で差が出るのではないでしょうか。あと95%の力で走り続けることを大切にしています。人間誰しも100%の力を出して常に生きるのは無理でしょう。だから5%分だけOFFの状態にして常に一定の力で行動するのが大事だと思っています。

―支え
プログラムの仲間はとても支えになっています。同じ目的や意識を持っている仲間と集まると、多くの事をわかりあえて前向きになれるんです。またさまざまな分野で学ぶ学生が集まっているので、たくさんの新しい事を取り入れられて新鮮味を感じられるのが楽しいです。

―メッセージ
多くの人に「世界で誇れる日本人」になってほしいです。日本人は安定志向の人が多い気がします。世界で活躍しているアジア人といえば中国人や韓国人が目立つ気がします。日本で働くのももちろん良いことですが、日本を飛び出して積極的に活躍する人が増えていくといいですね。


<メディア業界へ進む 宇内梨沙さん>
今年度のミス慶應に決まり一躍脚光を浴びている宇内梨沙さん。メディア業界へ進もうとしている彼女を突き動かしたものとは何なのか。


―夢を持つきっかけ
自分がやりたいことを重視しています。仕事についても、お金を稼ぐことより何がやりたいかを考えますね。

今思えば、中学在学時、生徒会に所属していたため人前に出る機会が多く、こういった活動に興味を持っていました。大学に進学後、テレビ出演やリポーターを経験する機会を与えてもらい、自分のやりたいことがメディア業界だと改めて実感しました。

―支えになったこと
努力して結果を出せば、自信がわきます。他の誰かに相談することはあまりなかったと思います。自分で出したその結果は、必ず大きな自信へと繋がります。

就職活動は、活動が始まる前々から先輩に話を聞いたり、業界研究をしたり、外見研究も意識しました。この努力が自分の支えになっています。

―社会に出てしたいこと
何らかの形で地元の横須賀に貢献したいです。他にも、2020年の東京オリンピックに関わる仕事をしたいです。

―大切にしていること
大事にしている言葉は「一期一会」。これまで、人との出会いがきっかけになって、いろいろな経験ができました。

メディア業界に興味をもったきっかけも、登校中にテレビ番組『学生HEROES!』の方に声をかけられたことでした。

またテレビに出演することがきっかけとなり、さまざまな人に出会いました。それらが全て繋がって今に至ると思います。

―就活生へのメッセージ
自分を良く見せようとするよりも、ありのままが大切だと思います。熱意があれば心に響きます。