『英語のフォニックス 綴り字と発音のルール』 竹林 滋

  laughは「gh」をfと読んでラーフ、womenはoをiと読んでウィメン、と発音する。英語のつづり字と発音の仕方がしばしば一致しないために、英語を読むことに不便を感じている人は少なくないだろう。本著の著者も、つづり字と発音の関係という観点から「英語は世界で最悪の複雑極まりないことばなのです」と認める。

 しかし本当は、英語の読み方には幾通りもの規則性がある。このようなつづり字と発音の基本的な関係のことをフォニックスと呼ぶ。フォニックスというルールを一度みっちり習得すれば、格段に読める英単語数が増えると期待できるのだ。

 本著は、ネイティブの外国人のようにそのままのつづり字で英語がで読めるようになるために必要なフォニックスの知識を与えてくれる。

 例えば、母音字の読み方には短音と長音があり、hatやmad、petなど「単語のおわりで母音字のあとに子音字が続いたら、その母音字は短音として発音される(本著におけるルール5)」など。本著では全部で20のフォニックスを解説。そして各ルールに当てはまる英単語も逐一リストにまとめている。もちろん例外の単語もあるが、読者はつづり字と矛盾なく発音できる英単語がいかに多くあるかを知り、驚くだろう。

 一般的に、英語の読み方は発音記号を使って指導されることが多い。だが、著者は発音記号の偏重にはあまり賛成的ではない。発音記号は非常に専門的な音声学の範疇にあるし、「英語のつづり字は不規則極まりないものだから発音記号がなければどうしても教えられない」という印象を強めるからだ。また発音記号にしたがって英語を喋っても外国人には伝わらないこともあるそうだ。

 本書によれば、発音記号を学ぶよりも、つづり字のままでどんな発音をすればいいかを学習し、フォニックスの基礎を固める方が効率的だという。そして、実際的な読むスキルも伸びやすい。本書では発音記号ではなく、著者オリジナルの発音表記を採用する。

 本著は初級篇、中級篇、上級篇の3つのパートに分かれている。、基本的なフォニックスから段階を踏んでいき、徐々に応用的なフォニックスへ学習を進められる。一つ一つ理解して次へ進むごく合理的な学習理論に則っているので学習者に親切だ。

 フォニックスという言葉を聞いたのは初めてでも、このつづり字はこの音だとなんとなく自分の経験から洞察していた人もいるだろう。本著を読み、やはりそのような厳密なルールは存在していたのだと再確認することも、英語学習にとって大きな実になろう。英語がもともと上手に読める人も、英語の読み方はでたらめだと思い込んで嫌悪している人も、一度フォニックスを知るために時間を割いてみてはいかがだろう。自分の英語感覚に自信がついたり、英語の見方が変わって学習意欲が増したりするはずだ。
     (川井田慧美)