原子力の従前と今後 環境保全・安全性を重要視

「文明論の視点から見た原子力の捉え方」と題した小泉信三記念講座が先月13日、矢上キャンパス創想館地下2階マルチメディアルームで開かれた。講師は東工大名誉教授で広島大学学術顧問の藤家洋一氏。内閣府原子力委員長などを歴任した、原子力の専門家。

藤家教授は、火を使うことから発展してきた文明が化学反応の文明である一方、原子力を用いる文明は核反応の文明であると指摘。現在は化学反応の文明から核反応の文明へ緩やかに移行しつつあること、また、文明の評価は長期的視野でなされるべきものであり、結論を急ぐ現在の社会の議論は拙速であることを指摘した。さらに、原子力を扱うに当たり資源確保と環境保全の両立、安全性の確立の重要性を繰り返し強調した。

福島第一原子力発電所事故は、津波の影響が大きいとされがちだが、地震の揺れによる影響自体も共通原因であると分析した。今後の課題としては、原子炉の自己制御性に関すること、原子炉の状態を表すプラントパラメータを表示すること、事故情報の明示、「絶対安全」がないと認め、今回のような過酷な事故が起こることを想定した対策の強化をすること、福島プラントの最終的処置の検討などを示した。