《2023年度塾生代表選挙》第1回 候補者討論会 リポート

12月8日、慶應義塾大学全塾協議会選挙管理委員会が、YouTubeライブで第1回塾生代表選挙候補者討論会を開催した。遠藤駿氏、中田康史氏、山田健太氏の3人の候補者が登壇した。候補者No.1の矢部力也氏は欠席した。矢部氏は諸般の事情により欠席するとの意向を全塾協議会選挙管理委員会に申し出ていた。

以下、今回の討論会に参加した各候補者の公約である。

No.2 遠藤駿(政2)
公約
1.慶應義塾大学全体のマスコットキャラクター制作
2.塾生代表選挙の周知強化。選挙成立に必要な有効投票率の引き上げ、投票義務化の検討を含む選挙制度改正
3.上記二つの公約実現に専念するために必要と思われる特別組織・役職の設置

No.3 中田康史(総2)
公約
1.塾生代表に400万円の資金を与える
2.自治会費を25億円に引き上げる
3.全学部に時給2000~3000円のバイトを設ける

No.4 山田健太(総3)
公約
1.改善された財政を駆使し、各種施策・制度・団体等を幅広く支援
2.知識等の共有や相談先の強化等を通し、同じ苦労を次の世代に残さない、誰もが安心できるキャンパスづくり
3.新歓強化や施設の利便性拡大等、塾生の声をかたちにする自治の力を強化し制度化

討論会では、事前にグーグルフォームで選挙管理委員会に寄せられた質問に各候補が答える形で議論がなされた。

――自治会費の増額について、増額したら何に使うのか?

遠藤候補:自分は塾生代表選挙の選挙制度自体に興味があるので、財政面については詳しくない。自治会費の増額については、関心をもっている人や有識者をお呼びして知見を深めていきたい。
中田候補:増額は可能だと思う。塾生の総意を問いたい。皆さんにはどのような義塾をつくりたいかを考えた上で一票を投じてほしい。
山田候補:まず自治会費とは塾生一人ずつから年間750円もらっているお金で、慶應には2万8000人いるから年間2300万円という話である。増額そのものには妥当性がある。750円の自治会費が制定された当時と今では物の価格が違う上に、他大学に比べても安い。だから増額の選択肢はなしではない。しかし、増額する上で「どんな条件で増額するか」と「増額した分を何に使うか」を考えなければならない。

――塾生は同じ額の自治会費を全塾協議会に納めているが、学部やキャンパスごとに受けることができる恩恵に差が生まれているように感じる。この「恩恵の格差」をどのようにして解決していくか、あるいは解決する必要はないのか、各候補者の見解を教えてほしい。

遠藤候補:1つのキャンパスにしか通学していないので、恩恵の格差を認識できていない。各キャンパスの人を呼んで話を聞いていきたいと思っている。完全な解決は難しい。だが、話し合いによって解決に近づけることはできる。
中田候補:必ずしも解決する必要はない。均等に配ったとしても、それが必ずしも最大の恩恵にはなりえない。解決はしない。だが、塾生の福利厚生や学習環境を整備していくことを重視していく。
山田候補:同じ額面の恩恵である必要はない。キャンパス間で受けられる恩恵が違ったり特定の意見が吸い上げられやすかったりといった問題は未だにあるが、解決しつつあるとは思っている。どんな立場の人間であっても全塾協議会の恩恵を受けられるような制度設計をしていくことが重要だと思っている。

また、各候補者には個別に質問が寄せられ、それぞれの候補者が質問に答えた。

〇遠藤候補への個別質問
――もっと選挙運動をしないのか。

遠藤候補:しない。というよりできない。対面の活動は7日前に申請をしないといけない以上、不可能である。これまでなぜしなかったのかと問われると、それは私の怠慢でしかない。申し訳ない。ビラを配ってはいる。興味のある人は日吉キャンパスの昼休みにきてほしい。

中田候補:軽い気持ちで選挙に出てくれる人がいるのはいいことだと思う。人それぞれの選挙運動のやり方があると思うので謝る必要はない。
山田候補:運動のやり方について特にルールはないが、(この質問が来た理由は)遠藤候補についてもっと知りたいということだと思う。

――マスコットキャラクターの使い道はどのようなものか?また、マスコットをつくろうと思った理由も教えてほしい。

遠藤候補:私たちの福澤諭吉先生は来年で1万円札から勇退なさってしまう。福澤諭吉先生に代わるマスコットキャラクターが必要。ペンマークのように慶應のPRに使う。

中田候補:マスコットキャラクターである必要は?アイコンをつくるより活動で示したほうがいいと思う。今の時代のPRはマスコットより人でやるべき。マスコットに限定する意味を教えてほしい。
遠藤候補:いろんな見解があっていいし、それらは両立可能だと思う。学生から募った愛されるキャラクターは意味があると思う。キャラクターを数年かけて設定する。それと同時に「ひと」を使ってPRをする。これは両立可能だと思う。
山田候補:マスコットをつくるのには、そこまでコストはかからないから別にいいと思う。ただ、「大学のマスコット」ではなく「全塾協議会のマスコット」になるので、そこは留意してほしい。

〇中田候補への個別質問
――自治会費を増額したときにどうやってお金を使っていくのか?

中田候補:全額25億円。塾生代表に400万円。時給2000円~3000円のバイトを用意する。使い道は5つ。SA(授業で学生のサポートをするための学生アルバイト)を設置するための予算に23億2000万円。教育活動支援金に9000万円。教室等使用金に4000万円。システム改修費に5000万円。それまでの自治会費2000万円。大きく言うと、「塾生への投資」。塾生が支払う自治会費を払えない人にはSAとして時給2000~3000円のバイトをしてもらう。詳細はTwitterの固定ツイートを参照して意見や質問を寄せてほしい。

山田候補:塾生が払う自治会費が大幅に増えるということに、生活が苦しい人は納得しないと思う。
中田候補:納得しない人も含めて選挙で賛否を問いたい。SAになっていただければ、苦になることなく払える金額だと思う。
遠藤候補:中田候補のTwitterがわかりやすいので読んでほしい。一つ中田さんに言いたいのは、多数決で自分に権力が渡ったからといって、少数の人たちを見捨ててはいけないと思う。

――自治会費25億円の公約の実現性は?

中田候補:みなさんのやる気で実現性が変わる。選挙で10%以上の投票率があって決まるのであれば、実現性は五分五分ぐらいはあるのではと思う。問題は金を設定しているところをいかに動かすかということだが、さまざまな規約を考えるとできると思っている。再来年の4月から始めるので、この一年はシステムの構築に奔走することになると思う。早くて再来年。遅くて再再来年。

山田候補:もっと具体的な内容を示してほしい。
中田候補:あらゆる予算の動きを止めます。三田祭や七夕祭といった祭りに対する自治会費や飲み水を止めて、教員や官僚、政治家など無理だと思っている人たちと我慢比べをする。
山田候補:実効性に疑問がある。予算を止めて我慢につながるのだろうか。
遠藤候補:予算を止めるというのは、本当に学生が望むことなのか考える必要がある。
中田候補:民意である。予算を止めることが公約実現の近道なのではと思っている。

〇山田候補への個別質問
――来年度の新歓はどうするのか?

山田候補:来年度の新歓は全塾協議会でやっていくべきことだと思う。12月中に来年度のスケージュールを公開する。2、3月に質問を開示して、今年の反省も含めて余裕をもって進めていきたい。

中田候補:Slackの問い合わせ用のチャンネルを消したのはなぜか。
山田候補:問い合わせが殺到し過ぎて対応しきれなくなった。そのためにいったん閉鎖し、各キャンパスの本部にくるように指示した。今後は人員を増やしたり余裕をもったスケージュールをつくったりなどしていきたい。
中田候補:それについての説明がなかった。透明性に欠ける対応だったのではないか。説明を増やすつもりは今後あるのか。
山田候補:今年については足りない部分があった。情報は開示していく。また、そもそもの問題が起きないようにしていく。
中田候補:今年の新歓での質問に答えていくつもりはあるか。
山田候補:来年の方針を提示した上で回答していく必要はあると思う。
遠藤候補:コロナ禍でサークルを知る機会が失われていた。いろいろな情報を見られることが大事だと思う。山田候補が二期にわたってやってきたことを引き継いでいきたい。

――今後の予算の具体的な使い道は?

山田候補:今年の新歓ではパンフレットを作成した。熱中症防止のために冷水機を改良してマイボトルで水を汲めるようにしたい。大学のコピー機も改良したい。小さいけど手元に残るところに投資をしたい。交付金の基準を統一化したことによって余剰が生まれた。それを今後の投資に利用していく。

中田候補:この予算ではあまり利益がないのでは。もっと学生にインセンティブを与えるべきなのでは。
山田候補:仕事にお金を絡ませてしまうと、制度に歪みが生じてしまう。お金にならないことができるのが大学のいいところ。
中田候補:インセンティブを与えるのは余裕がない学生が大学生活を楽しめるようにするため。
遠藤候補:具体的な予算は今まで通りの自治会費でやっていく。学生生活の中でのちょっとした不便を改善していきたい。

また、配信中には、YouTubeの視聴者から各候補者に質問がよせられ、各候補者が回答した。

〇遠藤候補への質問
――「意見を聞く」というのはどれだけの頻度なのか?
<回答>
問題解決に向けて解決するまで呼ぶと思う。月1回の会議があるので、その際にお呼びする。

〇中田候補への質問
――「民意」という言葉を使っているが、10%の投票率の選挙で選ばれることは果たして民意なのか。
<回答>
意見をどう吸収するかという点については課題があるが、できれば皆さんには選挙に行ってほしい。

〇山田候補への質問
――二期にわたって塾生代表を山田候補が務めてきたが、現状の学生自治の仕組みが「山田依存」になっているのではないか?また、具体的にどのような持続可能な自治機能の改善に取り組まれているかをお聞きしたい。
<回答>
記録をしっかり残していく。別に次の塾生代表が私のやっている事業を引き継ぐ必要はないと思うが、制度をしっかり残していこうと思う。

討論会の最後では各候補者が一言ずつ意見を表明した。

遠藤候補「三者三様の公約を聞けてよかったと思います。ちょっとマスコットにフォーカスが当てられ過ぎて、みんな選挙に興味がないのがちょっと残念だなと思います。」
中田候補「どうか、周りの人を誘って投票してほしいです。一回で選挙を終わらせましょう」
山田候補「いろいろなことがあるなかですが、誹謗中傷だけはやめてほしいです。ですがさまざまな声は拾っていきます。来週14日からの投票で何らかの意思表示をしてほしいです。」

今回の討論会では視聴者から多数の質問があがり、扱いきれなかった質問については第二回の討論会で取り上げるとした。また、討論会中に選挙管理委員会によせられた質問については後日別の形でとりあげるとした。第二回の討論会は12月13日、投票期間は12月14日から始まる予定だ。