近年、若い世代の間で人気を集めるASMR。ASMRとは、自分の好みのトリガーを見たり聞いたりすることで脳や体へ起こる刺激のことを指す。咀嚼音動画を筆頭に、『ASMR』と題された動画をYouTubeで見かけたことが読者も一度はあるだろう。今回は、ASMRの魅力について、チャンネル登録者数70万人を誇るYouTubeチャンネル「ASMR屋さん」でASMR動画を配信しているbenio店長に話を聞いた。

 

自分好みのトリガーを探す

――ASMRとの出会い、配信者を目指したきっかけを教えてください。

ASMRを知ったのは2年前です。その当時、結構いろんなところでASMRという言葉を耳にするなと思っていて、検索したのがきっかけでハマりました。

そもそもYouTuberになろうと思ったきっかけは、YouTubeの編集や企画を前職でやっていたところにあります。コロナ禍により外で仕事ができないときに、暇だしやってみようかなという感じでYouTubeを始めました。配信ジャンルとしてASMRを選んだのは、当時毎晩聞きながら寝るぐらいにハマっていたASMRを自分でもやってみたいと思ったからです。

 

――そもそもASMRとは?

ASMRとは自分の好みのトリガーを聞いて、脳や体へ起こる刺激を楽しむというもの。トリガーというのはASMRを感じるきっかけのことです。トリガーの種類としては、囁き声でリラックスするものや爪でものをたたくタッピング音、あとは環境音もASMRになります。マッサージをする音など、日常のふとした音もASMRになりますね。人それぞれ好みのトリガーや不快なトリガーがあるので、自分の好みのトリガーを探して、楽しみながらリラックスをするというのがASMRだと思います。

 

眠りを誘うASMR動画は数多く、人気も高い

 

――ASMRの面白さはどこにあると思いますか?

やっぱり脳みそや体に起こる刺激、ゾクゾク感を楽しむところが一番の魅力かなと思います。ゾクゾク感を得られなくても、リラックスしたり、寝る前に安心したりというので聞いている方もいると思います。でも私はそのどちらも楽しみながらASMRを聞いていますね(笑)。

 

なんでもASMRに置き換えて生活

――動画制作の工夫や大変なところはありますか?

ASMRも普通のYouTubeみたいに、バラエティ豊かに楽しめる企画でリラックスできたら楽しいかなって思っていて、それをコンセプトにして動画を作っています。見ていて飽きないような映像にしたり、テンポがいい編集にしたりなど、見ても聞いても楽しめるような動画作りにこだわっています。

大変なことは、ノイズが入らないようにすることです。映像もASMRにとって重要なのですが、音が一番大事なコンテンツなので、ノイズが入らないように工夫しています。防音スタジオをつくって撮影をしているのですが、そのスタジオ内でも、夏や冬はノイズ音の原因になる空調はつけられないから全然撮影ができなかったですね。今年の夏は本当に暑かったです(笑) 。ちなみにスタジオ内には、ロールプレイ用のスキンケアやコスメ、変わった水の音がするアイテムなど、変なものがいろいろ置いてあります(笑)。

防音スタジオで録っていても車の音などの雑音が入ってしまうので、編集ソフトを使ってノイズを編集しています。編集は、動画一本あたり大体4~7時間ほどかかっていてけっこう大変です(笑)。撮影、編集、アップの一連の流れはすべて私ひとりで行っています。

映像的な工夫もあって、画面の明るさを睡眠の邪魔にならないようなものにしています。顔がちゃんと映るように照明は当てているのですが、スタジオの壁は黒色にして、背景に優しい光を照らしています。私の好きなASMR動画は壁が真っ白で、寝るときにいつもまぶしいなと思いながら見ていたので(笑)。

また、YouTubeを始めた最初の1、2か月くらいは顔出ししていなくて、でも隠してない感じがいいかなと思って顔出しで投稿するようになりました。顔を出してないASMRよりも顔が見える方が私は好みで、信頼感があって安心するかなと思っていたので。

 

ブラッシングやコスメタッピングなど、メイクをする音もASMRになる

 

――今までにないASMR動画の発想はどこから生まれたのでしょうか?

私、ASMR以外のYouTube動画もよく見るのですが、そういうYouTuberさんがよくやっている鉄板の企画をASMRでやったら面白いだろうなという風に考えていることが多いんです。いつも「これをASMRにしたら面白いだろうな」みたいになんでもASMRに置き換えて生活していて、NG集や1分間のスピーディーなASMRなどの企画が出てきましたね(笑)。

 

今まで意識してなかった音に出会った

――ASMR配信者ならではの体験や出会いはありましたか?

人との出会いは特に、他のASMR配信者さんとコラボしたことで本当にASMRを好きな人たちに出会えて、普通に生活していたらこのような出会いはないと思うのでそれがすごく楽しかったです。あとは、音との出会いもあります。今まで意識してなかった音に出会いました。どんなに小さな音でも、耳に近づけてこれどんな音だろうって探しています(笑)。最近出会った音は、牛乳瓶の口に手のひらを当ててポワンポワンって出す音です。すごくいい音なんですよ!

 

チャンネル登録者数70万人突破を記念し、チャンネル初投稿動画である「ゲーム機タッピング音」をリメイク

 

――尊敬、気になっているASMR配信者はいますか?

私が初めて見たASMR動画がRaffyTaphyASMRさんという海外の方の動画だったんですけど、ASMR tappingっていうシンプルなタイトルで、その配信者さんのおかげでASMRにハマったのですごく感謝しています(笑)その次に見たのは、当時高校生だった日本のASMR配信者さんのKoki ASMRくんの動画でした。「この約2分の動画であなたは寝ます」という彼の代表作と言えるような動画で。そのときはKokiくんの動画ばっかり見てました。ASMRの魅力を教えてくれたお二人には感謝していますし尊敬しています。

 

――ASMR界での流行、人気のトリガーはありますか?

以前、「私の顔はプラスチックです」という動画を出したのですが、あれは結構流行ったなと感じています。もともと海外ですごく流行っていて、私がそれにインスパイアされてやりました。そのときに日本のASMR配信者さんもたくさんやってくれていたなという記憶がありますね。

海外のASMR配信者さんは大胆でスピーディーなASMRが多いのですが、日本ではゆっくり丁寧にというのを意識して作っているASMRが多い印象です。私は海外のASMRもよく見ますが、日本では作られていないジャンルが多いなと感じていて、『1分ASMR』なども海外の方にインスパイアされて、私も作ってみたいなと思って作りました。

愛されている音はいっぱいあると思いますが、流行りを問わず人気なトリガーは、やはり耳かきや、タッピング音、シャンプーやマッサージ音とかですかね。

 

耳のマッサージ音をライブ配信したことも

 

不安で眠れない夜はASMRを

――今後の活動でやってみたいことを教えてください。

今後の活動でも、まだ誰も挑戦してないようなジャンルに挑戦してみたいですね。見据えている配信者像などは特には決めていませんが、とにかく長く続けるというのを目標にしています。当初からの目標としては『ASMRといえばbenio店長』という風に思ってもらえることです(笑)。

 

――最後に、ASMRを楽しむ学生にメッセージをお願いします!

私の視聴者さんには学生さんが多いのですが、いつもコメントで学校とか課題が大変で疲れているという話を聞いています。そういう疲れた夜や不安で眠れない夜はASMRを聞くとすっきりして安心して眠れると思うので、ぜひいろんなASMRを聞いて自分の好きなASMR動画でゆっくりリラックスしてお楽しみください!

 

【プロフィール】

benio店長(ASMR YouTuber / ASMRtist)

2020年6月6日から活動を始め、現在(2022年11月4日)は73.2万人のチャンネル登録者がいる。

“1分ASMR”や”高速100トリガー”など新しいジャンルのASMRを流行させ、若い世代を中心に注目を集めている。

 

  • benio店長 / ASMR屋さん のYouTubeチャンネルはこちら →

https://www.youtube.com/channel/UC6VLBHsXtXtEMA3HpwAM2Rw/videos

 

(鬼木元子)