JICA職員・慶大生対談 国際協力の現場を語る

   「国際協力」と一口に言っても関わり方は様々だ。

 今回、慶大卒でJICA地球ひろばNGO連携課の草間佑子さんと

海外でボランティア活動を行う学生団体KIVO代表の竹内貴信さん(文3)に国際協力の実際について語り合ってもらった。   *   *   *   ──JICA、KIVO共に国際協力に関してどのような取り組みをしているのでしょうか。草間 国際協力に関連することならば多々ありますが、大きく分けて3つあります。まず、技術協力。専門家を現地に派遣するなど、物ではなく、技術を伝えます。次に、無償資金協力、そして、有償の資金協力。対象国の経済発展の度合いや支援内容によって、有償か無償でその国に必要な建物、橋などの施設を供与します。他にも海外ボランティアの派遣や日本の皆さんが国際協力に参加するきっかけ作りも業務に含まれます。竹内 ネパールの小学校に学級文庫を作ることが目標です。今春、ネパールを訪れ、現地の小学校に本を届けてきました。日本とネパールの子どもたちの国際交流を深めることも目指しており、ノートに両国の子どもたちにメッセージを書いてもらって交換するという企画も行いました。また、ネパールはポイ捨てがひどく、子どもたちのごみへの意識を変えられるよう、現地で清掃活動もしました。 ──お二人が国際協力に携わろうと考えたきっかけは。草間 中学生のとき、一年間アメリカの学校に通った経験だと思います。周りには様々な人種の生徒がいましたが、「いつ帰るの?」と聞いたら、ぽかんとされました。日本人は帰る日が決まっていますが、彼らには母国ではなくアメリカに住み続ける理由がある。そのことが頭に残っていました。竹内 旅が好きで大学に入学してから23カ国をまわりました。旅をする中で他国の人とも仲良くなれることがわかりましたが、旅での関係は一瞬。もっとこの関係が続けば何か変わるのではないかと思い、活動を始めました。 ──国際協力活動に必要な資質は何でしょうか。草間 自分の中に核となるものがあることが大切だと思います。相手の役に立つという点では、それが専門技術であるに越したことはないと思いますが、そうでなくても自分が大切にしていて相手に伝えたいと思うものをもっているべきでしょう。竹内 まずは現地の人と仲良くなることから始まると思っています。そのためには、相手の文化を受け入れること。国際協力といっても扱う分野は様々ですが、どのような活動にも必要なことだと思います。 ──学生だと専門性が伴わない部分もあると思いますが、学生にできることは何でしょうか。草間 自分で経験したことを学生という立場を生かして他の学生に伝えることが一番。専門性が足りない部分は、専門家に協力してもらって補うこともできると思います。また、JICAが設けているような公的基金に応募するなら、経理処理や組織運営をしっかりさせる必要があると思います。竹内 「できること」という結果を求めるのではなく、まずはできてもできなくても一歩を踏み出してみることが大切だと思います。KIVOは「一人の百歩より百人の一歩」を掲げて活動しています。百人が一歩を踏み出すきっかけを作りたいです。 ──草間さんはウズベキスタンでお仕事を、竹内君はネパールでボランティアをしていたとのことですが、現場に出ていくことの意義は何でしょうか。草間 日本にいてもわからないことが多いです。竹内君のように自分で途上国の現場を見てはじめて気付くことがほとんどだと思います。竹内 そうですね。現地に行っていかに自分がメディアの作り上げたイメージに左右されていたか気付かされました。 ──最後に塾生へのメッセージを。草間 何かやらなければと焦る人も多いかもしれませんが、何かやりたいことが見つかるまでは色々なことを吸収し続けるのもいいと思います。必死に吸収して飽和したら何か見えてくるかもしれません。竹内 塾生の横のつながりはとても強いし、尊敬できる人も多いです。ぜひ色んな人に会ってほしいと思います。KIVOに興味のある人はぜひ、きに来てください!

<関連リンク>JICA地球ひろば http://www.jica.go.jp/hiroba/index.html

国際協力学生団体KIVO http://kivo-col.com/ 

JICA地球ひろばの方での記事です。http://www.jica.go.jp/hiroba/information/2010/100421_01.html

(西原舞)

 

 

編集後記…  

「自分の活動が本当に国際協力になっているのか、わからない」。取材中、竹内さんが何度も
口にした言葉。KIVOの活動は現地の人を生活の根本から助けることにはならないという思い
があるというが、現地の人の喜ぶ顔を見て無意味ではなかったのかなと思った」と話す。
 竹内さんに対し、草間さんは「活動自体はとても充実している」としたうえで「ずっと支援を
続けられないとしたら、今後活動をどのように現地に引き継いでいくか、考えておく必要がある」
とアドバイス。草間さんはあるNGOとウズベキスタンの障害者支援を行った際、その支援が継
続するようウズベキスタン政府に政策の提案書を残してきたという。
 立場は異なるが、国際協力に携わる2人。対談は各々の立場を映す興味深いものとなった。
                                   (西原舞)