今季、慶大は強かった。前期は8勝3敗という成績を残し、後期は開幕から5連勝を成し遂げ、一時は首位に立った。しかし、目標だった「1部昇格」は叶わず。質の高いチームだっただけに悔やまれる結果だ。

 今年の強さは、安定したディフェンス抜きには語れない。主将の冨田を中心に、高橋、浅海(環3)の3人が常に安定していたというのはチームの強みだった。最終ラインの強みが基盤にあったからこそ、前線が攻撃に専念できた。大河(商3)や中川が積極的にドリブルを仕掛け、1対1で勝負出来たのも、最終ラインへの信頼あってのことだ。

 サイドが機能していたのも慶大の攻撃を活性化させていた要因だ。身体能力の高い武田(政4)と、正確なクロスが持ち味の飯高の2人はバランスが取れていた。真ん中でエースの巻(政3)がうまくその2人を使うことによってチャンスを演出してきた。

 これだけのチームだったにも関わらず結果に結びつかなかったのは、やはり終盤の5連敗が大きかった。「昇格が間近になるほど、皆プレッシャーを感じるようになった」と李監督が言うように、メンタル面でまだまだ1部は遠かった。連敗した試合を見ても、慶大本来のサッカーが出来ていない場合がほとんどだ。また、怪我・警告を含めた出場停止が多く出たのも痛手だった。後期、昇格のかかった試合でベストな状態を保てなかったのは大きい。スポーツ推薦がないため、選手層が薄いのはこのチームが常に持つ課題ではあるが、今季はそれを感じさせないチームだただけに、慶大は大きなチャンスを逃したかもしれない。

 しかし今年は昇格争いを通じて、戦術の面でもメンタルの面でも成長できた。冨田・高橋が卒業し、来年はディフェンスが懸念されるが、その分中川や巻などの攻撃陣が中心になっていくため、来年はさらに攻撃的なチームになるだろう。今年の涙を来年の歓喜に変えてくれることを期待したい。

(石川智成)