様々な分野で大いに存在感を発揮する塾生は多くいる。長内あや愛氏もその中の1人だろう。ミス慶應SFCコンテスト2017ではグランプリに輝き、株式会社食の会を起業するなど、塾内外で活躍する彼女に取材した。

昨年、慶大総合政策学部を卒業し、同大学の大学院に設置されている政策・メディア研究科に進んだ彼女。自分が突き詰めたい分野の研究に真剣に取り組める点が大学院の長所だと語る。大学院へ進むことを決意したのは大学4年生の時。「大学4年間で自分が本当に研究したい分野の全体像を理解し、さらに掘り下げたいという思いが生まれた」

彼女は食文化の中でもお菓子を研究領域としており、現在の研究テーマは「明治時代初期に福澤諭吉が食べたとされる洋菓子の製作」である。日本におけるお菓子の歴史を調べると、同大学の設立者である福澤諭吉が、洋菓子の普及に非常に貢献していたことが明らかになり、このテーマを選んだそうだ。

大学院生として勉学に励む彼女は起業家としての一面も持つ。大学4年生の時、株式会社食の会を起業した。この会社はお菓子の販売やケータリング、お菓子教室などを中心的な事業としている。食の会の経営と大学院での勉強の両立は非常に大変だと語る。しかし、それぞれのことに全力を尽くしており、両立ができていないと感じたことはあまりないそうだ。

そんな彼女は14歳の頃から「14才のパティシエ」というブログを続けており、継続期間は9年以上に渡るという。「自分だけのお菓子百科事典を作りたい」。そんな思いからこのブログが生まれ、自分がどれだけお菓子を好きなのかをほかの人に理解してもらう媒体になっている。お菓子を愛する彼女にとって、このブログは全く苦になっていないそうだ。

彼女は受験生や大学生に向けてエールを送る。「大学は自分のやりたいことに全力を注げる環境が整っている。また、自分の望む方向に突き進むことが、非常に楽しいと感じる時期を迎えるだろう。もちろん、苦しい時期を過ごすこともあると思うが、自分にとって素晴らしいことが必ず起きると信じて突き進むべきだ」。彼女からの言葉は多くの人に響くものであったのではないか。

(紫関陸)