予算表平成27年度義塾収支予算が公開された。今年度基本金組入前当年度収支差額は57・9億円の収入超過を見込む。国際化事業の一環で、慶大がスーパーグローバル大学に指定されたことによる支出の増加が予想され、国からの補助金を含め事業推進のための費用が新たに組み込まれた。なお、平成24年度から続いていた理工学部創立75年記念事業の募金期間が昨年をもって終了している。
(池田勇輝)



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平成26年度決算は、帰属収支差額では116.8億円と予算の59.1億円を大きく上回った。新基金設置のための特別寄付金が予算より増加したほか、受託事業収入の増加や、円安株高の市場で資産運用収入が好調であったことが帰属収支差額において予算を上回ることとなった要因としてあげられる。なお、消費収支差額は予算よりも38・5億円改善しているが、20.5億円の支出超過となった。

今年度予算では、「収入面で基本金組入額合計額の50%を賄うだけの収入超過の達成」という目標を継続し、支出面でも昨年度の支出予算を上限とすることで、健全な財政の実現を目指す。今後の財政については「一時期に比べ、財政は好転の兆しが見えるが、消費収支差額は支出超過が続いている。教育研究の質的向上を念頭に、今後も健全な財政を追及する必要がある」と経理部課長の栗林武郎氏は話す。

今年度から、学校法人会計基準の改正により、従来の消費収支計算書から事業活動収支計算書へと呼称が変更され、その内容も教育活動収支、教育活動外収支、特別収支の3つに細分化し財政の「見える化」が図られることとなった。さらに、帰属収入が事業活動収入計に、消費支出は事業活動支出計に、帰属収支差額は基本金組入前当年度収支差額にそれぞれ改められた。

今年度予算の収入面では、受託事業収入をある程度見込めたことで事業収入の約7.8億円の増加が予想される。またスライド制による学費改定のため、学生生徒等納付金が増加する。

また寄付金に関しては、理工学部創立75年記念事業募金の募金期間が昨年9月をもって終了しており、SFCでの未来創造塾募金、新病院棟建設事業募金については、それぞれ30億円と100億円の募金目標額を設定し、引き続き寄付金を募る予定だ。

支出面においては、人件費と教育研究費の増加や、医療収入の増加に連動して病院経費が約15億円増加する見込みだ。さらに、平成26年度からスーパーグローバル大学に指定されたことによる国際化事業推進のため、国からの補助金3.1億円を含んだ総額7億円が予算に組み込まれることとなる。その結果、基本金組入前当年度収支差額は前述の通り57.9億円だが、基本金組入後の当年度収支差額は48.7億円の支出超過となった。

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【用語解説】
事業活動収入計(旧帰属収入)は、学生生徒等納付金(学費)、手数料(入学検定料)、医療収入、寄付金、補助金などの収入であり、借入金収入などの負債となる収入は除かれる。事業活動支出計(旧消費支出)は、人件費、教育研究経費、病院経費など、当該年度に消費する支出。基本金組入前当年度収支差額(旧帰属収支差額)は事業活動収入から事業活動支出を引いた額である。基本金組入前当年度収支差額のプラスは、将来的な施設投資や借入金返済による基本金組入額の財源となる。基本金組入後の収支を当年度収支差額(旧当年度消費収支差額)という。学校法人会計基準では、当年度収支差額が均衡(差額=0)することを求めている。