新たな細胞培養法開発~岡野教授ら 難病治療への応用に期待

 慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野栄之教授らは、マウス胚性幹細胞(ES細胞)を用いて、神経幹細胞を1つのシステムで自在に誘導することができる新規の培養法を開発した。今回開発した方法で培養した神経幹細胞から生み出したニューロンを野生型、ALSラットの成体脊髄に移植すると正常に機能した。

 神経幹細胞は自己複製して電気的活動をするニューロンやニューロンの働きを助けるグリアといった神経細胞を生み出すことが出来る。神経幹細胞が生み出すニューロンは発生した場所や時期の違いによって約2万種類存在する。

 従来の培養法では1つのシステムの中では限られた神経細胞しか誘導できなかった。今回開発された培養法により条件をかえることで、試験管の中で多様なニューロンを作り出すことが可能となった。自在に多様な神経細胞を誘導できるという点で今回の培養法は画期的なものとなる。

「今回開発したシステムをヒトES細胞または、ⅰPS細胞に応用することで脊髄損傷や神経変性疾患、アルツハイマーやパーキンソン病などの治療へ応用ができる」と岡野教授は語った。

 今回の研究成果は8月29日付けのアメリカ科学誌「Stem Cells」に掲載された。