野球部の六季ぶり秋季リーグ優勝。バスケ部の45年ぶりリーグ戦制覇、インカレ優勝。競走部亀田主将の箱根駅伝出場など、今年度はまさに「陸の王者」と呼ばれるにふさわしい一年であった。そこで、今年度の体育会各部の活躍を、本紙紙面から振り返ってみよう。

 四月、端艇部による早慶レガッタで三年ぶりに王座を奪回、一年が始まった。

 野球の春季リーグが開幕。混戦から抜け出すも、明治に完全優勝を許してしまい、単独二位で終える。しかし、早慶戦を連勝し、四年ぶりに早稲田から勝ち点をあげることができた。悔しさと同時に 手ごたえを掴めたリーグ戦だったのではないのだろうか。

 春は他にも早慶戦が多く行われる季節である。

 まずは、早慶サッカー。ソッカー部は昨年の雪辱戦。前半からペースを奪われ、一時は二点を追う展開になるが、ロスタイムに同点打を決める執念の同点劇をみせた。

 早慶バスケでは、大学トップレベルの試合に歓声が挙がった。コーチが「負ける要素はまったくなかった」と言うように、難なく早稲田を圧勝。

 やはり「ナンバーワンの早稲田」などには負けられない。

 個人では、アーチェリー部の門倉真人さん(経4)が全日本選手権で優勝。日本代表としてクロアチアで行われた世界選手権へと出場した。また、器械体操部トランポリンの川尻名緒さん(総2)はインド・パシフィック大会で優勝。端艇部の青山恭子さん(環2)が全日本で優勝など、全日本、世界規模の活躍が目立った。

 夏、水泳部がインカレに出場。しかしシード権獲得にはならなかった(本塾とは関係ないが、インカレではアテネ五輪水泳メダリストたちが活躍し、会場は大いに盛り上がった)。

 九月に入り、野球の秋季リーグが開幕。今年の四年生は、二年前の新人戦で優勝した経験の持ち主。それだけに最後のリーグ戦にかける思いは強い。さらに、四年生が「下級生に優勝する姿を見せなければ、引退できない」と言えば、下級生も「お世話になった四年生を胴上げしたい。そのためには優勝」と、まさに「全員野球」の精神でリーグにのぞんだ。

 三年間勝ち点をあげることが出来なかった「鬼門の明治」から勝ち点をあげ、優勝に近づくも、立教から勝ち点を落としてしまい、完全優勝の可能性は失くしてしまう。そうして、早慶戦を終えるまで慶大、法大、早大の三校に優勝の可能性がある中、優勝条件は、早慶戦二連勝のみという厳しい大接戦を制し、見事六季ぶりの優勝を果たした。

 秋季リーグでは、首位打者に主将の中村太郎選手(経4)が選ばれ、最優秀防御率を加藤幹典選手(環1)が記録。加えてベストナインに中村太郎外野手、早川友啓一塁手(政4)、岡崎祥昊捕手(総2)、加藤幹典投手らが選ばれ、優勝に華を添えた。

 優勝が決まった早慶戦終了後には、パレードが開催された。野球部員、塾生・塾員らによる提灯行列は、沿道の人々から声援を受けながら、神宮球場から三田キャンパスへと練り歩き、三田の特設ステージでは祝勝会が催され、優勝の余韻に浸った。

 その後、各地区の代表が集まる神宮大会に出場。善戦も決勝で敗退し、日本一の座は惜しくも逃してしまった。

 野球部はリーグ戦通算一〇〇〇勝まであと一勝を残すのみ。日本一も一〇〇〇勝も、今後に期待である。

 そして同じ時期、バスケットボール部も、関東学生一部リーグで快進撃を続けていた。昨年見事に一部リーグ返り咲きを決めた塾バスケ部。

 圧倒的な存在感を放つ志村雄彦主将(環4)を中心に、石田剛規選手(環4)・辻内伸也選手(法4)の両ウィングを加え、さらにはゴール下の要であり、日本代表でもある竹内公輔(総2)そして酒井泰滋(環2)。彼らスターティングファイブが圧倒的な強さを誇り、チームを引っ張る。

 五人の個々の能力の高さとバランスの取れた連携プレーは、慶大の持ち味だ。

 初戦の相手は昨年度の王者、専修大学。春のトーナメントでは大敗を喫している相手だけに、まずは一勝を目指す。得意の先攻逃げきり型で、試合時間一杯に走り続け相手をかく乱。二点差で競り勝つ。対専修二日目は惜しくも敗れるが、その後は破竹の11連勝。一部復帰後すぐに、45年ぶりのリーグ優勝を果たした。

 だが、勢いはまだまだ止まらない。

 インカレは連日試合が行われるため、控えの層が薄い慶應は苦戦が予想された。しかし、リーグ序盤から「リーグ戦はインカレへの腕試し」と言い続けていた通り、スタメン五人は驚異的な精神力と体力で、真価を発揮。連日の接戦を制し決勝へと進出。

 決勝戦の相手はまたしても専修大学。リベンジに燃える強豪相手に12点差を覆す逆転劇で、こちらも45年ぶりとなるインカレ制覇。悲願の学生王者の称号を手にした。

 バスケ部の挑戦は一月まで続いた。全日本総合選手権へ出場。二回戦で三菱電機に敗退するも、試合終了後、選手たちに向かってスタンドからは温かい拍手がおくられた。

 走り負けないバスケ。そしてチーム一丸となって目の前の勝利を一生懸命に目指す姿勢は、多くの観客を魅了した。

 秋は蹴球部(ラグビー)の季節でもある。今年から、新監督に三宅監督を向かえ始動したタイガー軍団。宿敵早稲田に完敗したものの、関東学生リーグ二位。インカレでは国立に届かなかったが、ルーキーの活躍が目覚しい。

 体育会所属団体ではないが、ラクロス部の活躍も目覚しい。学生代表として、全日本選手権に出場。社会人チームなどの強豪を抑え、決勝へ。しかし惜しくも準優勝。ラクロス部は全日本選手権で三年連続二位となっている。主力選手が多く残る来年こそ雪辱を果たしてほしい。

 十二月には、ボクシング部による、早慶ボクシングも行われた。今試合をもって五年間監督を務めた大倉監督が引退されるとあって、選手たちは気合十分。結果は見事に昨年の雪辱を晴らし勝利し、大倉監督の勇退を飾った。試合の合間に見せる監督と選手たちの関係が印象的であった。

 そして新年。箱根駅伝では、競走部の亀田健一主将が関東学連選抜の選手として第十区を走破。塾競走部の選手が、箱根駅伝に出場するのは11年ぶりの快挙であった。力走は、今後の体育会の発展へとつながっていくであろう。

 二〇〇五年度も「陸の王者」の活躍に期待したい。