作品には飾らない美しさがある
作品には飾らない美しさがある
 喧騒から離れた踊り場には、色とりどりの陶器が顔をのぞかせる。静かに物語る陶器の魅力にひかれ、第一校舎3階ロビーで出展、販売している「陶芸倶楽部」にお話を伺った。
 普段は明確な活動日を設けておらず、各部員が自由な創作に励んでいるという。あまり堅苦しくせず、楽しく自分の技術を向上させていくことをモットーとしているそうだ。「マイペースに、向上心を」と、当倶楽部の代表、光藤葉子(文3)さんは語る。
 部員は初心者から経験者まで幅広くいて、それぞれがスタートラインを異にしている。のびのびと成長できる環境に作品の魅力の秘密がありそうだ。なるほど、陶器からは各人の自由な感性があふれていて見ているのが楽しい。個人のテーマや想いが十分作品に宿っている。
 矢上祭に引き続き、陶芸倶楽部は出展だけでなく陶器は販売もしている。ろくろで綺麗に形作られた日本食器が、テーブルいっぱいに並べられている。三田祭で現在並べられている陶器の多くは、茶碗などの食器である。
設けていない数少ない全体のテーマを伺ったところ、日常の中に思い出を持ってもらいたい、とのことだ。
現代では忙しすぎる日常の中、食卓についてゆっくり時間を過ごすこともなくなってきた。ここで自分を見つめなおす時間を考えてみてはどうだろうか。
 「食器など、日常に思い出というものを感じてもらいたい」と光藤さんは買った人に想いを馳せていた。
(片岡航一)



『陶芸倶楽部展示・販売会@第一校舎3階ロビー』