チームの要、中村選手(左)と仲宗根選手(右)
チームの要、中村選手(左)と仲宗根選手(右)
ラグビーで背番号「12」と「13」を付けたCTB(センター)はパス、ランニングスピード、タックルなどで高いスキルが求められるポジション。今季の蹴球部でそのポジションを務めるのが、主将である仲宗根健太選手(総4)と中村圭介選手(総4)である。
2人とも出身校は桐蔭学園。中学、高校、大学と一緒にプレーし、今年で10年目。大学4年目で初めてAチームで2人揃ってCTBを務める。「1対1の当たりの強さ、体を張ったプレー」(中村)が特徴である仲宗根選手。一方、「とても器用で、周りを動かせるプレーヤー」(仲宗根)である中村選手。プレーに異なる特色を持ち、「お互いに足りない部分を補う」(仲宗根)ことで、慶大BK(バックス)に多彩な攻撃をもたらすアクセントとなる。
今季、CTBを含めて慶大ラグビーが求めるのは「前に出ること」(仲宗根)。慶大は「素早いパスでボールを横に動かす展開」(中村)を得意とする。しかし、体の当たり合いで劣勢になってボールを前に運べなくなると、慶大が得意とする展開に持ち込めない。
約3週間に及ぶ夏合宿では、フィットネス向上を意識した練習、ウェイトトレーニングの他に、練習前の体重に戻す、または体重を増やすまで食事を終わらせない徹底した食事管理も行われた。「自分は体が小さい分、体が大きい相手に対して最低限同じレベルで戦う。体重を増やし、かつ走れるようにすることはマストである目標」(中村)と意識は高い。
今年の夏合宿では昨年に比べて、「選手1人1人の状況判断が求められる練習が多かった」(仲宗根)という。特にBKでは陣地を進めるためのキックやアタックのサインプレーなどを試合でどのように組み立てるかに重点が置かれた。夏合宿の後半には「フィジカルが強いチーム」(仲宗根)である帝京大、東海大、関東学大との練習試合を実施。1分け2敗と戦績は芳しくなかったが、「体格が大きい相手に対し、いかに前に出るかが試せた」(仲宗根)と秋の公式戦に向け、チーム状態は良好と言える。
対抗戦の初戦である成蹊大戦から蹴球部の本格的なシーズンがスタートする。4年生にして初めて公式戦に臨む中村選手は今年の慶大CTBの見せ所として、「自然とチームが流れに乗れるように1次・2次攻撃で突破する」とチームにおける自分の役割を語る。主将としてチームを牽引する仲宗根選手は「口下手なので、姿勢で引っ張っていくしかない」と謙虚に言いながらも、「相手にとって脅威となるCTBになりたい」と意気込む。
慶大CTBの2人を起点に素早く、力強いラグビーを体現するフィフティーンに期待したい。
(塚本雅章)