喊声 七月号

先日、サークルの先輩が進路について深く悩んでいる場面に出くわした。理想の「夢」を追いかけるか、理想とは違う現実的な「職」を取るか。答えはすぐには見つからない▼有名だった大企業ですら倒産してしまう時代だ。勝ち組、負け組という言葉も廃れ、もはや何が正しい道なのか見当もつかない。学生には常に不安が付きまとう▼大きな目標はそれ相当のリスクと表裏一体である。輝く者の存在には理由があるのだ。維新の勇、西郷隆盛は「断じて行えば鬼神もこれを避ける」と説いた。1人の青年が打ち込む姿は歴史をも動かした。しかし、その過程で多くの政敵を作りだした事実も残っている。それでも成し遂げたのは志一つに適うところがある▼そんな輩には自然と素晴らしい同志が集う。西郷は盟友である勝海舟らと毎晩のように杯を交わし、日本の将来について真剣に議論した。夢を持つ者には不思議な魅力が備わるのだろうか▼今の若者には妙な空気が漂っている気がする。どことなしか「倒幕」のヒーローにはなれっこないという諦めの気持ちが見え隠れし、夢を言葉にして発することには気恥ずかしさを覚えてしまう。消極的な姿勢は、「就職難」と言われているマイナスな現状とどこかリンクしてしまうのが悲しい▼七月は「穂含み月」。自分の夢について振り返って考えるのはどうだろうか。幸いにも収穫までにまだ時間はある。秋にきちんと穂をつけるかどうかは自分次第だ。後先考えずにまずは走りだすこと。これこそが学生、若者の特権だ。そうでなければ「狂気」とまで呼ばれた青春に申し訳ない。 (中野翔介)