乾徳山(山梨県)から望む富士山=丸さん提供
乾徳山(山梨県)から望む富士山=丸さん提供

入念な準備大切に

 

秋といえば紅葉、紅葉といえば山である。山というとどんなイメージを持つだろうか。
 「山には我々の日常とは切り離された世界がある」。体育会山岳部OBの丸誠一郎さんは山に登って数10年。豊富な経験を基に語ってくれた。
 山で最も大切なこと、それはチームワークと入念な準備である。チームでの登山は、リーダーの正しい判断や信頼関係で成り立つ。一人でも欠けてはいけない。全員で頂点を目指すことに成功のカギがあるのだ。
 そして「100年に1度のことを想定した準備」。山で不測の事態が無いよう事前準備を完璧にする。いつ何が起こるか分からない山では、笛やナイフ、方位磁石といった個人装備は常に肌身につけるそうだ。
 また、「山ガール」が流行している反面、山での事故や遭難が増えている。初心者は遭難事例の載った本を1冊読んでおくと役立つ。
 丸さんは山の魅力についても語ってくれた。「山はほっとする場所であり、新たな挑戦と程よい緊張感を与えてくれる場所」と語る。下界とは180度違う世界を見せる山。数え切れないほどの星々に囲まれ、自然と直に接する山の世界は、多忙な丸さんとって癒しの空間であるそうだ。
 また、現役山岳部代表の日高慶さん(環3)は、登山未経験だった頃「山登りはつまらない」と考えていたそうだ。しかし中学時代の中央アルプス登頂をきっかけに、山の景色、登る達成感に魅了され、今では彼の自信と成長の糧になっているそうだ。
 学生にオススメの秋の山を3コース教えてもらった。1つ目は相模湾を見渡す丹沢ヤビツ峠から塔ノ岳・丹沢山コース。2つ目は中禅寺湖、戦場ヶ原を見渡す菅沼から日光白根コース。3つ目は鍾乳洞があり登り甲斐のある増富温泉から金峰山コースだ。どれも前泊、日帰り可能で温泉も充実した、関東の誇る山々である。
 いざ登るとなると相応の覚悟がいるが、登ったときの達成感、下りたときの温泉の気持ち良さは格別ではないだろうか。また塾生はシーズンスポーツ山岳を履修すると、単位だけでなく忘れられない経験も得ることができるだろう。
 丸さんから塾生にこんなメッセージも頂いた。「逆転の発想を忘れるな。映画『12Angry Men』の陪審員8人のように、人の話を鵜呑みにするのではなく、自分の考えを信じ、諦めないことが大切。山とはそんなリーダーシップを育む場所である」  (宮前美希)