『パニック・コミック』には俳優の竹中直人さんも出演
『パニック・コミック』には俳優の竹中直人さんも出演

「笑い」を動機に映画製作
「この映画は今までの集大成として作りたかった」
 映画「パニック・コミック」(九月三日公開) の監督である奥山由之さん(政2)はついて本作についてこう語った。
 奥山さんが映画制作に興味を持ったのは中学生の頃。当時からクレイアニメを自作しており、高校に入ると、映画制作を目的とする団体「CRANK PLAN」を友人らと共に立ち上げ、本格的に映画制作に取り組み始めた。        
「最初は他の映画のまねをしていました。しかし団体意識を持ち、しっかりした映画を作るためにCRANK PLANを立ち上げることにしました」
 CRANK PLANは初作品である「ワッショイ!」で映画甲子園グランプリ他計6賞に輝き、華々しい成績を残している。
 「自分が一番面白いと思う『笑い』を表現したかったんです。それを表現する媒体で一番身近なものが映画でした」と奥山さんは語る。
 本作『パニック・コミック』において一番苦労したのは台本作りだと振り返る。
「最初にルームシェアを題材とした台本を2カ月かけて作ったのですが、それを読み返してみたらつまらないと感じ、新しく台本を書き直しました。後は協賛集めに苦労しました。自主映画なので、全て自分たちで動かなければなりません。逆にスタッフ・キャストは知人づてに集まってくれました」
 映画制作に関して「モットーは『伝えたい事をこめない』ということです。確かに映画で自分はこんな『笑い』が好き、という気持ちを表現しています。しかし、見る人がその映画から何を感じるかはその人の自由であり、僕が強制するわけではありません。監督としてはそれ以上望んではならないと思っています」と力説する。
 映画制作とは別に、写真家としての一面も持っている奥山さん。今年は既に二回日吉キャンパスで個展を催した。
「自分にとって、写真と映画制作は別物です。映画制作は表現したいと思う『笑い』が動機となって、撮影を始めます。反対に写真の場合は、実際に自分の目で良いと思う対象を見て、それを純粋に撮影しているだけです」
 今後は映画と写真の両方の仕事をこなしつつ、最終的に雑誌を作るつもりだという。「言葉では伝わらなくとも、ビジュアルで伝える。何かをクリエイトする人間はそれを念頭に置かなければならない」。奥山さんは自身の使命についてこう語った。
(田村優歩)