投資という言葉を聞いて、どのようなイメージを思い浮かべるだろうか。大学生には難しい、怪しい、身近に感じづらいといった意識を持つ人もいるかもしれない。
そこで、投資とは何か。大学生にも出来るものなのか。投資初心者が気を付けるべきことは何か。野村證券本店法人営業一部次長の齋藤秀人さん、みずほ証券コーポレート・コミュニケーション部投資教育推進室長の浜崎祐一郎さんに話を聞いた。

そもそも、投資って何?

そもそも投資とは何なのか。疑問に思う人は多いだろう。
野村證券の齋藤さんは「社会を明るくする手段だ」と語る。お金を必要とする企業に、リスクテイクできる方が資金を出す。投資されたお金は企業の資金となり、それが元手となって新製品や新サービスが生み出される。生み出された新製品や新サービスがよりよい社会を実現する。証券会社は、この資金のマッチングを手伝う仕事をしている。野村證券創業者の野村徳七は、「証券報国」と説いた。資金のマッチングを通じてよりよい、豊かな社会を実現する。投資には社会貢献の側面が存在する。自らのお金を増やすだけではなく、自分の好きな製品やサービスを提供している会社を応援し、社会のより豊かな発展につなげることもできるのだ。

みずほ証券の浜崎さんは「まずは投機と投資の違いを明確に」と語る。浜崎さんは投資教育推進室長として、小学生から社会人まで幅広い層に対し金融教育を行っている。その経験から彼は「大人でも、投機と投資をきちんと区別できている人は多いわけではない」と語る。投機とは、短期的な価格の値動きを重視して売買することを指す。そこにそのモノの中長期的な成長やそれに伴う企業価値は考えられていない。例えば、昨日10万円で買った株式を今日11万円で売ったとしよう。10%儲かった計算だ。だが、たった一晩で10%もその企業価値は上がったのだろうか。中長期的な事業活動の結果、企業価値がどうなるのかの判断よりも、短期的な価格の値動きを重視して売買する。これが投機だ。

では、投資は?浜崎さんは語る。「投資は金融だけではない。自己投資や設備投資というものも投資だ」。これらの共通点は何か。それは、成果が出るまで時間がかかるということだ。企業の利益は一朝一夕で大きく増えることはない。企業の地道な努力の結果、新たな製品などが世に出る。少しずつ売れる。企業の利益は時間をかけて努力した結果なのだ。浜崎さんはこれを筋トレに例える。「筋トレも、始めてすぐ筋肉がつくようなものじゃないですよね」と。投資は長期的成果を期待して行うものなのだ。

投資をしよう、でもどうやって?

投資が何なのかは分かった。けれども、どうすれば投資ができるのだろうか。何に投資すればいいのかわからない。投資といえば株式、のようなイメージもある。そもそも株式とは、いったい何なのか。
株式は、企業のオーナーになる投資手段だ。お金を企業に提供してオーナーになることで、企業の利益の一部を配当金としてもらえる。また、株式を売却して利益を得ることも可能だ。ただし、株価の変動によって、自分の投資した金額が目減りし、最悪、企業がもし倒産した場合株式の価値がゼロになる可能性がある。

他に、債券という投資手段もある。債券とは、期間等条件をあらかじめ定めて、企業にお金を貸すことである。企業が倒産したら無価値になる可能性がある点では株式と共通しているが、株式との違いに満期がある。保有期間中は価格変動があるが、通常は、その間の利息を受け取り、無事に満期を迎えると元本が返済される。そのため、その企業の財務状況が悪化しないなら、一定のリターンが見込めるので、株式に比べ安定した投資手段と言えよう。債券は、満期時に受け取れる金額や、利子の金額があらかじめ決められている点で、銀行の定期預金に似ているかもしれないが、大きく異なるのは、リスクを誰が背負うかという点だ。銀行預金は、預かったお金を銀行自身がリスクを取って企業などに貸し出す。そのため、貸出先がお金を返せなくなっても、倒産リスクを負うのは銀行であり、預金者の預金は保護される。しかし、債券投資ではリスクを負うのは投資家だ。投資の原則は自己責任。投資先を自分で決められるからこそ、利益は自分のものだが、リスクを背負うのもまた自分なのだ。

このリスクの問題、投資におけるリスクとは、一般的な意味合いとは異なる。投資におけるリスクとは、価格の変動幅を指す。そのため、複数の投資商品を組み合わせて、自らが許容できる範囲内にリスクを抑えることが投資において重要だ。

だが、複数の投資商品を組み合わせて買うのには大学生が用意できないような大金が必要だ。その問題を解決するのが、投資信託という投資手段だ。投資信託とは、多くの人々が少しずつお金を出し合うことで、少額でもリスクを分散させて投資するのを可能とする投資手段だ。近年よく耳にするインデックス投資とは、この投資信託のうち日経平均株価など、特定の指数の動きに連動した運用成果を目指す投資信託に投資することを指す。

始めよう、つみたてNISA

そして、証券口座が開設可能ならば、投資信託を用いた大学生向けオススメの投資手法がある。それがつみたてNISAだ。最大20年間、40万円を年間上限として毎月少しずつ投資するやり方だ。浜崎さんは「本格的な資産形成を始める前に少額からスタートできるものとして若年層にオススメできる。若いうちから投資を経験することで、自分の資産形成の選択肢を広げるのに有用だ」と語る。また、齋藤さんも「時間的恩恵を受けられる大学生には最もオススメだ。最低限でまずは始めてみて、理解が進んだらリスクを取っていけばよい」と語るように、この投資手段には投資初心者の大学生にとって、メリットも多い。
まず、月千円、金融機関によっては百円などの少額から始められるという点だ。
学生が始めるには手軽な金額だ。
二点目は、長期でじっくり投資に取り組める点だ。長期間、毎月定額で投資を続けることで、高値掴みといったようなリスクを抑えることが可能だ。二十歳前後の大学生にとって、時間は最大の武器だ。「時間を味方につけることにより、価格変動リスクを抑えることができる」と齋藤さんは語る。
最後に、これは投資全般に言えることだが、世の中の勉強になる点だ。自分が投資したものの価値がどういう理由で変動するのか。経済などの仕組みが身近に感じられるようになり、興味を持つようになる。「お金の動きに興味を持って勉強することで、世の中の仕組みなどの勉強になり、視野が広がる。投資のための企業調査が進路や興味の探求につながることもある」と齋藤さんは語る。

投資の初歩の勉強手段としては、日本証券業協会のホームページ「投資の時間」
がオススメだ。また、高校生も対象にしているが、みずほ証券と早稲田大学が作成したSTEAMライブラリー内のオンライン教材も動画がわかりやすく作られており参考になる。ほかには、日経新聞などの新聞もオススメだが、初心者向けとしては少し敷居が高いかもしれない。投資に少しずつ慣れてきてから新聞を用いて情報収集をするのがいいだろう。大学生にとって身近なユーチューブは検索機能などにより、無意識のうちに情報が偏る危険性がある。また、リスクへの説明が十分でない場合が多いことにも注意が必要だ。

また投資への注意点として、投資詐欺や取引方法によっては借金を背負ってしまう危険性も存在する。投資詐欺と聞くと、そこまで身近に感じられないかもしれない。しかし、浜崎さんは「学生が学生を勧誘する投資詐欺も多いように思われる」と語る。また、信用取引や一部のFX取引など、借金をして投資をするハイリスクハイリターンな投資手段もある。自己資金以上の大きな損失を抱えてしまうことを考えると、初心者が取り組むにはリスクが大きすぎる。到底大学生が行うべきものではなく、非常に投機的なものだ。

齋藤さんは「余裕資金と自己責任」を注意点の肝要として語った。ちょうど四月に民法が改正され、18歳から自らの手で契約できるようになる。この点にも注意しつつ、世の中、うまい話は無いということを念頭に、無理のない範囲で投資に取り組むのが大切だ。

最後に、塾生諸君に対し「目的と目標の違いを考え、目的のない状態にならないようにするのが大切だ」と齋藤さんは語る。何のために投資をするのか。まずは勉強として投資を始めてみるのはいかがだろうか。本記事は投資勧誘目的ではないこと、投資は自己責任であり、損失を被る可能性もある点には留意しつつ、投資の世界に目を向けてほしい。まずは少しずつ投資について学んでみてはいかがだろうか。

橋本成哉