〝ナチュラルラグビー〟を掲げ、判断力、展開の速さを磨き続けた慶大。しかし最後は東海大のパワーに屈した。
今季の慶大はここ数年で最も好調なスタートを切った。対抗戦初戦の筑波大戦に快勝すると勢いに乗り開幕5連勝。そして全勝対決となった早大戦では、前半に見事な展開から三木が2トライを奪うと、後半には伝統の魂のタックルで早大攻撃陣を抑えた。引き分けに終わったものの歴史に残る激闘は慶大のチーム力の高さを見せつけたゲームだった。
しかし対抗戦優勝をかけた帝京大戦で流れが変わる。17点リードして迎えた後半にFWで圧倒され逆転負け。外国人FWを擁した帝京大の圧力を抑えられなかった。
そして迎えた大学選手権。福岡大、法大には勝利したものの、リーチら日本代表FWを擁する東海大には接点の局面で完敗し、試合の主導権を握られた。
いくら展開力があってもFWで勝てなければ、バックスにはボールが回らない。帝京大戦、東海大戦はそんな当たり前のことを痛感する内容だった。
来季は林監督が率いるラストシーズンになる見込みだ。有終の美を飾るためにはFWの強化が必須となる。PRの川村(法4)、廣畑(環4)が抜けるのは大きな痛手だが、今季の悔しさを経験した高橋浩(経2)らの成長に期待したい。バックスはCTB竹本(環3)、増田(環3)、WTB三木ら中心メンバーが多く残る。秋までにより個の力を伸ばすこと、そして今季の課題であった選手層を厚くすることが求められる。
今季の松本組は見る者の魂を揺さぶる大学屈指の好チームだった。しかしそれだけでは日本一になれない。より『強さ』を身につけ、来季こそ頂点に立ちたい。