春学期のオンライン授業、見えた課題と新たな可能性

 

2020年春学期、慶大は新型コロナウイルスの影響を受け、感染拡大防止対策として、初めてオンライン授業を実施した。誰もが未経験の試みに不安もあっただろう。環境情報学部の植原啓介准教授に、SFCのオンライン授業がどう実施されたか、教員と学生の反応などについて話を聞いた。

 

オンライン授業実施の過程

SFCでは、3月上旬に「オンライン授業の可能性を模索するように」と学部長から指示があったという。その後学事日程が変更され、可能な限りオンライン授業を実施することが決定した。「当時は『可能な限り』という話でした。なので中には対面で授業を行いたい教員や、オンライン授業に不安を持つ教員もいました」と植原准教授。

そうした教員たちの不安を取り除くため、SFCは支援窓口を設け、オンライン授業のための資料作りや、講習会を開いた。講習会ではWebexの操作方法について説明が行われた。「それらの準備を1週間ほどで行わなければならなかったのは大変でした」。4月に授業の全面オンライン化が決定すると、講習会の予定を追加し、最終的には教員向けに全11回も開催した。

学生へのサポートも注力した。植原准教授が準備をする中で懸念していたのは、学生や教員にインターネット等のICT環境が整っているのかであった。そこで、SFCでは必要な学生に向けてパソコンを提供した。

通信環境の改善策として植原准教授は「インターネットに関する知識を入手することが重要です。自分で通信環境が正常か否か判断できるようになることが、インターネット環境に対する不安を軽減します」と話す。

 

オンライン授業への生徒の反応

また、植原准教授らは5月と7月に、学生・教員の双方を対象にしたオンライン授業に関するアンケートを実施した。

学生の意見で多かったのは、課題が多いというものだった。しかし、「試験ができない状況で、評価のための課題が増えるのは仕方のないことです。そもそも海外の大学と比べて日本の大学は課題が少ないと感じます。とは言いつつバランスもあるので秋学期に向けて何が適切な着地点かを探していくべきだと考えます」と植原准教授は語る。

一方「オンラインだとコミュニケーションを取りやすく教員をより身近に感じた」という意見もあった。特に前半は何度も復習できるオンデマンド、後半はグループワークのできる生配信と二形態を組み合わせた授業の評判が高かったという。

 

コロナ収束後のオンライン授業

コロナ収束後、植原准教授はオンライン授業の継続に前向きだ。「オンライン授業は世界に開けた教育を可能にすると思います」。准教授は今回の事態が起こる前から、オンライン授業は導入するべきだと考えていたという。

「一方、キャンパスとは誰かと意見を交わし新しいことを構想する場であるとも考えます。学び方の自由を得るためのツールとしてオンライン授業は続いていくと良いと思います」と続けた。

最後に「現在は大変な状況ですが、インターネットの研究者として時代が間に合って良かったと思います。われわれは時代に合わせてできることをやっていかなければならない。学生からも何か提案があれば教員に伝えてください。慶應義塾大学が日本で一番良いモデルを作れればと思います」。

 

(津覇瑠華)