連載

《明日もっと笑えるように》

 

連載|14人がオモウコト。
テーマ「夏休み」

(6)
明日もっと笑えるように

 

チャチャ丸さんの思い出の夏うた『SUMMER SONG』のPVを見て、あんなキラキラした青春は女子校に通っていた私にはなかった…と思いながらコラムを執筆している。毎日のリレー連載、参加している私もワクワクしながら読んでしまう。

第一回のテーマの「夏休み」について私なりに思いつづってみた。

誰が想像できただろう。この灼熱の太陽のもとで、マスクをした人々が溢れかえる景色を。

コロナの影響により、夏休みがすでに終わってしまったという人もいるだろう。

夏といえば、パッと光って夜空に咲く鮮やかな花火、子供たちの笑い声と波の音がする海、仲間と騒いで暑さを感じるBBQ。そんな夏はどこに消えてしまったのか。

私は、今年で20回目の夏を迎えた。気づいたら、忘れられない4年前のひと夏の思い出を振り返っていた。ここからはぜひ、あの夏の私のテーマソングであるMeghan Trainorの『Like I’m Gonna Lose You』と共に見守ってほしい。私は初めて異国の地、アメリカに行った。初めて見る景色、初めて出会う価値観。正しさは一つではないと気づいた時、自分の中で何かが弾けた感覚を今も覚えている。たくさんの挑戦と、たくさんの人の温かさで溢れていた。自分も知らなかった自分に出会い、なんでもできるような高揚感に包まれていた。今、振り返ってみても色あせることのない思い出の1ページである。この写真は、あの夏の私の背中だ。一緒に戦い、寄り添ってくれた友が撮ってくれていた。帰国後、この写真を目にした私は気づいたら泣いていた。異国の地で、遠い空を見つめ、考えていたことは今でも鮮明に覚えている。自分で言うのもなんだが、その背中はたくましく見える。

あの夏の私と今の私。髪も伸び、顔も少し大人びたはず。背もと言いたいところだが、背はほとんど伸びていない。外見だけでなく、中身も変わった。成長したと思うが、少し怖かった。人は変わっていくことをなぜ恐れるのだろう。変わらない者を笑うくせに。それでもたしかに、あの頃憧れていた未来を歩き出した。2019年、新しい世界へと踏み出し、たくさんの人や、見たことのない景色との出会いで溢れていた。あの夏、わからなかったことも少しわかり始めた気がしていた。

しかし、私の時計は今年の3月から止まってしまった。できないことばかり考えてしまった。小中高が始まっていく中で、なぜ大学生はキャンパスに立ち入れないままなのか。GoToキャンペーンができるのに、なぜ修学旅行や合宿は許されないのか。大学生だけ取り残されていっているような感覚を抱いた。今の状況への息苦しさ、先の見えないくらいトンネルを歩き続けなければいけないような虚無感、未来への不安。そんな思いを抱えて、ただいたずらに時が過ぎていってしまった上半期。

それでも、時は私たちを待ってはくれない。日に日に時が削られていく。だから、今年の夏をどう過ごそう。あの夏と同じように、二度と取り戻すことのできない2020年の夏を新しいnovelの真っ白なページにどんな風に描こうか。

よく、大学生活のことを人生最後の「夏休み」という。今までその意味を社会に出て働く前の、最後の自由時間を遊び倒すための期間と捉えてきた。しかし、違ったのだ。最後に与えられた誰に奪われることなく、自分の意思だけで過ごせる自由時間である。どんな未来を描きたいのか、どんな自分になりたいか、その問いに向き合い、探し続けるためなのだと気づいた。なぜなら、あの夏があったから、今があるように、過去を積み重ね、今があり、今を積み重ねて未来が作られるからだ。その取り戻すことのできない一瞬一瞬は、コロナであっても、奪われるわけにはいかない。だから、あの夏の私に笑われないように、明日の私がもっと笑えるように。ただひたすら、今できることを大切にしようと思う。

“I think of what the world could be

A vison of the one I see.

A million dreams is all it’s gonna take.

A million dreams for the world we’re gonna make.”

(A Million Dreams, Benj Pasek / Justin Paul)

ここまで読んでくださった方に、大きな感謝を。そして、もし何かを我慢し、孤独を感じて、苦しい、悲しい気持ちの人の背中を押すのではなく、その気持ちに寄り添えたなら、とても光栄である。

P.S. 先ほど、冒頭部分でご紹介した私のあの夏のテーマソングの訳を、皆さんに最後にお届けしたいと思う。あの歌は恋愛ソングだが、かけがえのない”時”や”思い出”に置き換えてぜひお聞きいただけたらと思う。

 

☆ペンネーム 桜優霞

☆学部学年学科 法学部法律学科2年

☆ひとこと いちごと桜が大好きです!

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