スペシャルオリンピックスの挑戦 ~ハンデあってもスポーツを楽しむ

 知的発達障害のある人でもスポーツが楽しめる。それを可能にしているのが、スペシャルオリンピックス(以下SО)だ。

 SOとは知的発達障害のある人の自立と社会参加を目指して、スポーツトレーニングや競技会などの場を提供している国際的なボランティア団体である。故ジョン・F・ケネディ大統領の妹であるユーニス・ケネディ・シュライバー夫人がアメリカで活動を始め、組織化してから今年で丁度40周年を迎える。日本でもスペシャルオリンピックス日本(以下SON)が設立され、現在では各都道府県の地区組織が中心となり、21のスポーツプログラムと5つの文化プログラムを提供している。

 SOでは参加する知的発達障害のある人をアスリートと呼び、今回取材を行ったバスケットボールプログラムの世田谷地区には25人のアスリートが登録している。彼らは毎週木曜日に規定の体育館に集い、ボランティアのコーチ達と共にバスケを楽しく練習している。取材当日に練習に参加したアスリートは20人、コーチが7人であった。練習開始前にはアスリートや彼らを支えるファミリー、コーチ全員がコートの真ん中に集まって円を作り、掛け声にあわせて「チャレンジャーズファイト、オー!」と叫ぶのが恒例だ。ランニングを済ませ、時間をかけて柔軟や準備運動をし、ダッシュやステップなどのフットワークを行った。どれにも必ず熱心にコーチが寄り添い、指導をする。ボールを使った練習に入ると、ボールを高く上げてキャッチをしたり、ドリブルをしながら走ったりなど基本的なものが多い。コーチの小谷洪司さん(慶應義塾楽籠クラブOB)は「1年前にはできなかったことができるようになる。それでいいのです」と述べた。週に1回のみ、1時間半ほどの練習だが、SOではその日々の練習を何よりも大切にしている。練習の最後にはチームに分かれて試合を行った。みなその日一番の笑顔でボールを追いかけていた。

 現在SONに参加しているアスリートは6千人を超える。しかし、人口の約1~2%が知的発達障害のある人だと言われている中、その数は決して多くない。SOとしては活動の規模を大きくし、より多くのアスリートに参加して欲しいところだが、そこには練習会場の数やボランティアの人数が足りないという問題ある。ナショナルトレーナーの諏訪俊二さん(慶應義塾大学OB)は「スポーツを介することでアスリートが好きな種目から参加できるという一方で、ボランティア側も自分の経験や興味のある種目がSO参加のきっかけになるのです」と述べた。

 国際的に活動しているSOは、現在165カ国以上の国から250万人以上が参加している大きな団体である。しかし、その活動の一つ一つはとても身近で小規模である。一人一人が難しく考えずに参加してみることが、大きな力となるのではないだろうか。

(今村和香子)

 SO問い合わせ先=SO東京事務局
 TEL03-3615-5569