事前に集めた塾生からのさまざまな疑問を、その分野に詳しい先生に解決してもらうこのコーナー。第1回のテーマは「大学生とお酒との向き合い方」だ。今回は、久里浜医療センターの真栄里仁医師に、お酒に関する塾生からの「ギモン」を一刀両断してもらう。20歳になって飲酒を経験する際に、最低限必要な知識を身につけよう。(聞き手 水口侑)

 

久里浜医療センター 教育情報部長 真栄里 仁 医師

 

―なぜ人はお酒を飲むのですか。(K・Sさん)

依存性物質という点では、お酒は大麻や覚醒剤などと大きくは変わりません。にもかかわらずお酒だけ許容されているのは科学的・医学的な根拠よりも文化的な要因が大きいです。コンパでお酒が入ると会話が弾むように、お酒は嗜好品であると同時に、コミュニケーションツールとして社会的な役割を担っています。これが、お酒が長きにわたり飲まれている理由だと思いますね。

 

―「お酒は飲めば飲むほど強くなる」というのは本当ですか。(T・Uさん)

正直に言えば本当です(笑)。ただ、強く鍛えれば良いかというとそういうわけではありません。日本人の半数はお酒に弱い体質であり、そういった人がたくさん飲むと、確かにお酒には強くなりますが、食道がんや大腸がんといった病気になる可能性が大幅に高くなります。「お酒に強くなった=良いこと」ではなく、強くなったということはそれだけ体に無理をさせているということを忘れないでほしいです。お酒に強くなったからといって出世できるわけではありませんよ(笑)。

 

―「ほろよい」をジュース感覚で飲んでしまいます。(Y・Mさん)

「ほろよい」などの度数の低いお酒は飲みやすいこともあり、飲酒量に気を付けなければなりません。アルコールは、飲んだ直後は体に吸収されません。飲酒量にもよりますが、吸収のピークは1時間弱後。「自分は酔っていない」と思ってたくさん飲むと数十分後に急激に酔いが回るので、度数の低いお酒は特に注意が必要です。