《新型コロナ》 正しい感染予防を

新型コロナウイルスに感染しないために、私たちはどのような感染予防策を講じればよいのか。慶應義塾大学保健管理センターの康井洋介氏に取材した。

 

感染予防におけるマスク着用の効果について

新型コロナウイルスの感染が取り沙汰されるようになって、最初に不足したのがマスク。深刻なマスク不足が現在も続いているが、マスク着用の効果はあるか。

新型コロナウイルスに感染し咳・くしゃみのある人がマスクを着用した場合、しぶきの拡散を抑制することで感染症の拡大を予防することができる。一方、健康な人がマスクを着用しても感染予防の効果は限定的と考えられている。

感染予防のために心がけるべきこと

慶大では、まもなく新学期が始まる予定だ。授業中や休み時間、感染予防のために心がけるべきことやできる予防策はあるか。

新型コロナウイルスを始めとする感染症は、咳などによるしぶきを直接吸い込むことおよび、しぶきが付いたところに触れた手で顔の粘膜に触れることにより感染する。咳などに含まれるしぶきのうち粒が大きいものは1-2m離れたところに落下するが、粒が小さいものは空気中にしばらく浮遊すると考えられている。したがって、部屋の空気をこまめに換気することおよび手を洗うことが感染予防に有効だ。

 

「濃厚接触」とは

ニュースなどで言われている「濃厚接触」はどのようなものか。濃厚接触で感染しない人や濃厚接触でなくても感染する人はいるのか。

「濃厚接触」とは、新型コロナウイルス感染者と同居している、あるいは車内・船内などで長時間接触することを指す。2メートル以内の距離において対面で一定時間以上接触した者および医療機関などで行われている感染予防策を行わずに患者と接触した者が濃厚接触者となる。ウイルスに感染するかしないかは、ウイルスの性状だけではなく、個人の免疫状態や周囲の環境にも左右される。このため、濃厚接触であっても感染しない人はいるし、濃厚接触でなくてもウイルスに感染してしまう人は存在する。

交通機関における感染リスク

換気の悪い場所に不特定多数の人が密集し、なおかつ近距離で会話する状況が発生する船内などは新型コロナウイルス感染症の感染リスクが高まると考えられている。

 

生活における感染リスク

生活している中でよくある状況を挙げ、その状況で指定された人物が感染していると仮定した。その場合の感染リスクについて、康井氏に聞いた。

1.感染リスクが高くない例

2メートル以内の距離において、対面で一定時間接触するような場合に感染リスクが高まると考えられる。

よって、以下の例では感染リスクは低いと考えられる。

  • 物品販売の店員さんと話す
  • 飲食店・コンビニエンスストアの店員さんから手渡しでレジにて商品を受け取る
  • 宅配便・郵便物(書留など)の手渡し

マスクをしていない人が、すれ違いざまに咳をした場合も、咳を直接すいこむような状況でなければリスクは高くないと考える。

2.感染リスクが高い例

一緒の部屋でカラオケをしている場合、換気の悪い場所で大声を出すということに該当するため、感染リスクは高いと考える。

相手が新型コロナウイルス感染症の患者であった場合は、手をつないだり、ハグをしたりといった直接接触は濃厚接触に該当する。

 

正しい感染予防のために

現在までの報告によると、密閉された空間に多数の人が密集すること、およびそれらの空間内で会話をしたり大声を出したりすることが新型コロナウイルスの感染リスクを高めるとされている。東京の屋形船や大阪のライブハウスにおける新型コロナウイルス感染症の集団発生例からは、袖が触れ合うような距離で2-3時間接触すると感染リスクが高くなることが分かっているが、感染リスクが高まる接触時間の下限が存在するかは分かっていない。新型コロナウイルスに感染した者を診療や介護などにおいて感染予防策なしで直接接触した場合は、短時間の接触であっても感染のリスクは高まる。新型コロナウイルス感染症とインフルエンザは同じような感染形態をとるので、インフルエンザ対策に有効な手段は新型コロナウイルス感染症においても有効であると考えられる。

 

感染症予防の知識を身につけ、正しく感染リスクを恐れることが重要ではないだろうか。

(塚原千智)