《受験生応援特集》「音を文字に結びつけよ」 東進ハイスクール・安河内哲也先生インタビュー

「慶大を受験するみなさん。緊張などしてはいけませんよ。大学入試だけで人生は決まりません。大きく構えましょう。むしろ大学での4年間や、その後に何をするかが、今後の人生においてはるかに重要です。大学入試は予選の1つに過ぎません。入試当日は変なプレッシャーを感じるのではなく、その瞬間を楽しむ気持ちが大切です。今後も挑戦は続いていきます。ここは、開き直って全力で挑もう!」

「Enjoy the moment!」

そう檄を飛ばすのは数々の名著で知られるカリスマ英語講師、安河内哲也先生だ。先生は慶大英語を解く際の注意点を次のように語る。

「分からない単語はマクロの視点で文章を読めばヒントが必ずある。解けなければならない基礎的な問題を確実に仕留め、慶大英語特有の難問奇問にこだわらないことが大切。満点や高得点を目指すのではなく、各学部の合格点を目指すことを意識して欲しい」

 

 

英語ができる人が必ずしている習慣とは

英語を得意とするには「正しい英語の勉強法がすべて」だという。そこで重要なことは、音を使った学習だと安河内先生は語る。

「英語学習は『読む・書く・聞く・話す』の4技能から成るが、音を使わないと『話す・聞く』の2技能はまるで出来ない。一方、音を取り入れた学習をしている人は『話す・聞く』のみならず、『読む・書く』も習得が早い。日本人は英語学習を紙の上で完結させようとする癖があるが、まずは『話す・聞く』の音を使った勉強を取り入れて、インプットとアウトプットをバランス良くやるべきである」

同レベルの英語なら、聞いたり話せたりするものは読んだり、書いたりできるが、その逆は成り立たない。耳と口を動かすことが英語力向上の近道だと安河内先生は力説する。

具体的にどういった勉強法があるか。国公立大を併願する慶大受験生も多いであろうが、マーク型から記述式問題へ頭を切り替えるために、口頭英作文が効果的だという。

「受験生には時間がない。英作文は鉛筆と紙をもってやるものだというイメージが強いが、話せるものは書けるので、口頭英作文は書く練習と同じ効果がある」と安河内先生は語る。

 

大学生と資格試験

大学で資格試験の受験を考えている受験生も多いだろう。その際「必ず4技能型の資格試験を受験してほしい」のだという。

「世界的には、4技能試験でないと信頼されない。まず、大学生が目標とすべき試験はTOEFL iBT、IELTSである。TOEICを受験するならLRとSWを交互に受けるべきで、2技能に偏るのは避けてほしい」

ここで注意すべきことは、テストに振り回されすぎないことだ。

「テストで点が取れない人はテスト準備ばかりする傾向にあるが、資格試験は入試ではない。資格試験の正しい使い方は、模試のように受験をして弱点を把握し伸ばすことだ」と安河内先生は語る。

 

「安河内式」大学生の英語学習法

まずは大学入試に向けた、これまでの一技能型の勉強法を一新しなければならないという。安河内先生は、語彙を例にその理由を次のように説明する。

「多くの高校生は単語集やアプリなどで日本語の意味だけを暗記する。しかし、発音ができない語彙は実戦で使えず、まともな語彙とは呼べない。だから、これまでの勉強法を見直し、音を中心としたものに変える必要がある」

その際に効果的なのが、耳と口を使ったアウトプットとインプットを組み合わせた勉強法だ。

「安価で手軽にできるオンライン英会話は非常におすすめ。読解の教材の密度が濃い上、種類も豊富だ。自分に合ったものを一日一回25分毎日学習すれば、どんどん英語力は向上する」

加えて英語に触れることのできる環境に自ら飛び込んでいくことが必要だとする。海外旅行や留学生と交流することはもちろん、英語学校などに通い一緒に英語を勉強する仲間やコミュニティーを作ることが大切だ。

「受験の結果よりも、大学入学後の4年間で何ができたか。これが、その後のキャリアに大きなインパクトを与える。ぜひ耳と口をフル稼働して英語学習を進めて欲しい。」

 

受験生も、大学生も、英語力向上を目指すなら一度鉛筆を机の上に置こう。全てはそれからだ。

(水口侑)

 

【プロフィール】

安河内哲也(やすこうち てつや)

1967年 福岡県北九州市生まれ、遠賀郡岡垣町育ち。上智大学外国語学部英語学科卒。東進ハイスクール・東進ビジネスクールのネットワーク、各種教育関連機関での講演活動を通じて実用英語教育の普及活動をしている。また、文部科学省の審議会において委員を務めた。言語活動型英語授業を促進するために、各所へのスピーキングテスト、4技能試験の導入にむけて活動中。話せる英語、使える英語を教えることを重視している。子供から大人まで、誰にでもわかるよう難しい用語を使わずに、英語を楽しく教えることで定評がある。予備校や中学・高校での講演の他、大学での特別講義や、大手メーカーや金融機関でのグローバル化研修、教育委員会主催の教員研修事業の講師も務めている。