第96回東京箱根間往復大学駅伝予選会が10月26日に東京都立川市で行われた。慶大は昨年より一つ順位を下げ、27位(11時間28分47秒)と悔しい結果に終わった。また、チーム内トップで走破した司代(政2)は全体で109位(1時間5分50秒)となり、関東学生連合チームに選出された。

 

予選会での走りについて

今年は例年より暑い中で行われた予選会。この厳しいコンディションが選手たちを苦しめた。エースの杉浦(政2)は序盤のハイペースがあだとなり、後半失速する。1万㍍で29分台をもつ清水(法2)も暑さにやられ、途中棄権した。杉浦は「学連選抜の期待とエースの責任を全うできなかったことが一番悔しい」と話した。

主力選手が苦戦する中、奮闘したのが司代。粘りの走りで見事に学連選抜の座を勝ち取り、「どの天気でも走れるように準備してきた。他大学の選手たちが苦戦している姿を見て、チャンスだなと思った」と振り返った。選出されたことについては、「全く考えていなかったので、見る世界が変わった。これをポジティブに捉えて上を目指して頑張っていきたい」と語った。保科コーチも「予想外の結果。チームで5、6番手の選手なのでよく頑張ってくれた」と評価した。

 

チームとしての反省

今回の予選会について保科コーチは「力不足です。力があると思った自分に隙があった。気候も逆に涼しくなると予想していたので、準備不足ですね」と結果を悔やんだ。
長距離ブロック長の田島(政4)は「設定通りに行ってしまった分、暑さにやられて後半失速してしまい、自分たちの脆さが出てしまった」と悔しさをにじませた。

「慶應箱根駅伝プロジェクト」が発足して約2年半。今年の長距離ブロックは杉浦、清水が1万㍍で29分台に突入。他部員も順調に自己ベストを更新するなど、目覚ましい成長を遂げてきた。夏以降も準備も決して怠らず、自信を持ってこの予選会に臨んだという。

今回の予選会の結果を受けて保科コーチは「かなり順調に進んでいたが、最後にミスをしてしまった。これは甘さに尽きる。今までが順調に行き過ぎていました」と1年を振り返った。一方で「一つ考え直す機会をこの予選会で与えてくれたのだと思う。今までの過程を振り返り、改善して頑張っていきたい」とすでに来季を見据えていた。

 

今後について

今後は、エースの杉浦が2年生ながら次期ブロック長に就任する。杉浦は「きちんとした目標を設定し、各個人が自覚を持って一日を過ごすことが大切。本戦を目指して頑張りたい」と意気込んだ。現ブロック長の田島は「杉浦は下も上も見ていける存在。コーチ、選手と一丸となってチームを作っていって欲しい」とエールを送った。保科コーチも「杉浦は爆発的なリーダーシップを持っている。背中で選手達を引っ張ってほしい」と期待を寄せた。

今年の予選会では慶大と同じく第一回大会に出場していた筑波大学が26年ぶりの出場を決めた。「箱根駅伝復活プロジェクト」の成果が出た形となった。他大学でも箱根駅伝プロジェクトが積極的に推進され、近年の箱根駅伝予選会は正に戦国時代を迎えている。慶大も負けてはいられない。
箱根駅伝出場に向け、来季以降鍵になるのは「速さを強さに」だ。「速さはあるがまだ強さはない」と報告会で語った保科コーチ。来年の予選会では今年より強い慶大を見ることができるのか、注目だ。

(松本功)

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