《ラグビーイヤー2019》日本テレビアナウンサー・安村直樹さん 「日本開催だからこそ奇跡が起きる」

ラグビーイヤー2019

日本テレビの安村直樹アナウンサー

安村さん×学生時代 出たかった早慶戦

―ラグビーを15年間続けてきた理由は?

小学生の時に指導してくださった先生方のおかげです。私がどんなプレーをしても褒めてくれたので、ラグビーを始めた時の記憶って、本当に褒められた記憶しかないんです。

ラグビーは「楽苦美」とも書くと教わったことがあります。楽しいだけでなく、苦しいこともあり、最後にはみんなとの絆になって美しいものになるスポーツであると。そのラグビーの「楽しい」部分を小学生の時にたくさん教えてもらいました。

―慶應に進学した理由は?

小学生の時に、両親に秩父宮ラグビー場に連れて行ってもらい、その時に見た早慶戦がずっと記憶に残っていました。選手たちが100%のスピードで相手の膝あたりに突進していけるのはすごいと思ったからです。

私はもともと医学部を志望していましたが、憧れの慶應ラグビー部でラグビーがやりたいと思い、浪人時に志望を変えて慶大に入りました。

―慶應時代の思い出は?

10キロ走が毎日のようにあり、しかもタイムを切らないと何度も走り続けます。浪人時代には体を動かしていなかったので、体力的に本当に辛かった思い出があります。

また、ラグビー部には高校日本代表の選手などが大勢いて、この中で試合に出るのは無理だろうという思いや、本当に自分はここでやっていけるのかという不安がありました。「これは大変なところに来てしまった」というのが、ラグビー部に入った当初の印象です。

―早慶戦の思い出は?

大学時代、早慶戦には一度も出られませんでした。今でも「出たかった」と思うことがあります。毎年早慶戦の試合会場には行けないことが多く、テレビで見ていると、あの景色をグラウンドから見たかったという思いがこみ上げます。早慶戦は慶應を背負って戦う場なので、当時の自分の中では納得して応援していました。でもやっぱり悔しいです。

 

安村さん×ラグビー お互いに助け合う「絆のスポーツ」

―どこに注目して試合を見たらよいか?

初めてラグビーを見る人にお勧めしているのは「音」です。生身の人間がぶつかり合う時の、なんとも形容しがたい音がするんですけど、そういう「音」を聞くだけでも面白いと思います。人間と人間が100%の力でぶつかると、こんなに迫力のある音がするというのは驚くと思います。

一人の選手に注目するのもポイントです。もちろんイケメン選手を追いかけるのもいいですね。初めてラグビーを見る人は、まず10番の選手を見るといいと思います。スタンドオフという司令塔の役割なので、10番の選手を追っていくと次にどこに攻めるのか、どこにボールを投げるのかなどが分かってきます。

また、プロップという1番と3番の身体の大きな選手たちが一生懸命に走って体をぶつけ合う、実直な姿を見るのもいいと思います。

―ラグビーの最大の魅力は?

ラグビーはお互いに助け合う「絆のスポーツ」だと思います。仲間のために一生懸命にプレーを続ける素晴らしさは伝えたいと思います。

私がラグビーの実況をする時は、ボールを持って突進する選手だけでなく、後ろから誰がサポートに来ているのか、誰がボールを持っている選手を押し込んだのかなどを含めて実況するようにしています。そうすることで、ラグビーは一人だけでなく、仲間の支えがあって前に進めるスポーツだということを伝えるようにしています。

―トップリーグのアンバサダーとして

ラグビーの輪をもっと広げてきたいですね。私が日本テレビのアナウンサーになったのは、全国に向けてラグビーの魅力を伝えたいと思ったからです。ラグビーをもっと分かりやすく、親しみやすいスポーツにしていきたいです。

私はいつも「一度、ラグビー場に来てほしいい。絶対にラグビーのファンになりますから」と言っています。ラグビー経験者や、一度でもラグビーを見て楽しいと思った人は、ラグビーの魅力を口コミで広めてほしいと思います。

 

安村さん×W杯 日本開催だからこそ奇跡が起きる

―安村さんの関わり方は?

日本代表の試合を実況したいです。そして日本代表が優勝する瞬間を実況するのが一番の目標です。

また、ラグビー中継を見たいと思う人を増やすことです。そのためには試合の中継以外でも、情報番組でたくさんラグビーを扱ってもらえるようにしたいです。私はプライベートでもラグビーの試合を見に行った際に動画を撮っているので、試合の動画などをSNSにアップするなどして一人でも多くの人にラグビーを見てもらいたいです。

―日本の順位は?

ずばり「優勝」です。前回のW杯で「日本は南アフリカには勝てない」と言っていた自分がいました。でも今は日本が優勝できると思うし、日本で開催するからこそ奇跡が起きると信じています。日本中の人が日本代表を応援したら本当にすごい力が生まれるだろうし、奇跡も起きると思います。

―注目選手は?

同じ慶大出身の山田章仁選手です。山田選手は高校生の時から憧れの存在で、面倒見のいい先輩でした。大学時代の誰に聞いても「山田選手は誰よりも努力していた」と言います。優しくて面倒見がよく、魅力にあふれた山田選手にはW杯で大活躍してほしいと思います。山田選手のW杯にかける思いも知っているのでなおさらです。

―自国開催について

世界中の人たちが日本を訪れるので、ラグビー観戦を通して日本の魅力や日本でのラグビー観戦が楽しかったと思ってもらいたいです。自国開催なので日本代表を応援するのはもちろん、他の国のラグビーを見てみようとか、この国にこんな選手いるんだという発見を海外から来るファンと分かち合えたらいいなと思います。

―今後のラグビーについて

サッカーや野球のように、日本中の誰もがラグビーを知っていて、子どもたちがラグビーボールを触っている、そんなスポーツになればいいなと思います。ラグビーを「文化」として根付かせたいという思いがあります。前回のW杯では五郎丸選手の人気をラグビー自体の人気につなげられなかったので、次こそはラグビーの本当の楽しさをアナウンサーとして伝えていきたいと思います。


―慶應の学生へ向けて一言

ラグビー部の部員たちとお友達になってあげてください(笑)。体が大きくて近寄りがたい雰囲気が絶対あると思いますが、実は恥ずかしがり屋さんが多いんです。僕もそのタイプで、恥ずかしくてラグビー部の輪から出られなかったことを今でも後悔しています。だから、ラグビー部の部員たちへはもっと色々な人たちと交流してくださいと伝えたいです。

また、自分はこれだけは絶対に人に負けないこと、これだったら自分は輝けるというものを見つけて、そこに向けて努力してほしいと思います。

私は大学でラグビー部に入った時は、一番下のチームで一番ヘタな選手でした。体力も筋力もなく、ラグビーの強豪校の出身でもなかったので。だけど、その中でどうしたら自分が試合に出られるのかと考えていた時に、ゴールキックだけは誰にも負けないようにしようと思い、毎日1時間くらい一人でずっとラグビーボールを蹴っていました。そうした努力が

認められて、2年生の時に大学選手権で、試合に出ることができた経験がありました。

「これだけは負けない」と思ってやっていることは、自分の中で自信になると思います。大学時代は自分の好きなことを思う存分にできるチャンスにあふれているので、様々なことにチャレンジしてほしいですね。

(聞き手=鈴木里実)

 

安村直樹(やすむら・なおき)

日本テレビアナウンサー。2018-2019トップリーグのアンバサダーを務める。1988年東京都出身(30歳)。慶大総合政策学部を卒業。慶大時代は蹴球部の所属。