大倉山、東急東横線とJR横浜線が接続する菊名駅の1つ手前の駅だ。日吉駅から約5分という距離だが、降りる機会は滅多にない。

大倉山ふくろう神社

住宅街に突如として現れた不思議な空間

大倉山駅を降りて少し歩くと、住宅街の中に突然コンクリートの美しい形をした建物が現れた。この建物は、慶應理工学部の客員教授でもあり、「建築界のノーベル賞」と呼ばれるプリツカー賞を2010年に受賞された、妹島和世さんが設計したものだ。もともとは集合住宅で、現在は複数の商業施設が集まる場所になっている。これは穴場の予感だ。太陽の光が降り注ぐ中庭を、エステのお店やワインのお店などに興味を惹かれつつ進む。すると、左奥に「大倉山ふくろう神社」という店を発見した。

外からもちらっとふくろうの姿が見えて、心が躍る。中に入ると、合計6羽のふくろうが迎えてくれた。最初に入場料1500円をお賽銭箱に入れて、と。鎮守の森の神様であるふくろうは森の哲学者であり、学業成就のシンボルともいわれるため、お願い事をするといいことがあるかも。実際にここでお賽銭をし、合格を勝ち取ったお客さんもいるそうだ。

さっそくふくろうたちと触れ合ってみる。小さなからだのものもいれば、迫力ある大きなふくろうもいて飽きることがない。目の前に手や指を差し出すと、甘噛みして甘えてくる子もいる。また、一人につき一回、気に入ったふくろうを肩に乗せることができるのがこの店の特徴だ。小さなふくろうを肩に乗せると空気ほどに軽く、優しくほおをすり寄せると夢のようなふわふわ感を楽しめる。

肩の上に乗るふくろう

ふくろうの雛の販売も行っているこのお店では、お客との関りも大切にしており、過去来店したお客の写真なども飾ってある。ここでは人とふくろうの、親と子のような関係が築かれていた。

大倉山ふくろう神社は月曜・木曜が基本的に定休日。今回の取材は昼だったが、昼に行くのと夜に行くのでは、また雰囲気も違ってよいのかもしれない。

BOTANIC PEACE(ボタニックピース)

さて、続いてもカフェに向かう。「BOTANIC PEACE(ボタニックピース)」という名前だ。

カランカラン。ベルのついたドアを開けると、軽やかなボサノバの音楽が耳に流れ込んでくる。照明の温かさに心が安らぐ。雑貨のディスプレイを通り過ぎたところでオーナーさんの姿が見えた。

オーナーは女性の方で、お店をひとりで切り盛りされている。優しい語り口で魅力的な店主だ。ボタニックピースは「フェアトレード」や「環境によい」をテーマにし、雑貨やお花を中心に扱う雑貨カフェ。カフェの利用者は年配の方が多く、予定を済ませた後のお茶や、待ち合わせに使うお客も多いそう。

さっそく私たちも注文することにした。名物のオーガニックジンジャーエール(500円)と、あずきほうじ茶ラテ(550円)にヴィーナコーヒー(580円)が美味しそうだ。紅茶の種類も変わったものがあり、選ぶのが楽しい。

器も楽しめる

オーナーは大倉山についてこう話す。「大倉山は急行や通勤特急ではとまらず、各駅停車でとまる駅なので、どこかのほほんとしています。住んでいる方々も落ち着いているし、この街が好きみたいですよ」。なるほど、お店のコンセプトにぴったりだ。

ボタニックピースでは月に何度かワークショップも開催しており、内容は手ごねキャンドル作りなどの製作ものから、自分に似合う色を探すベストカラー講座まで幅広い。お客の紹介で講師の方を呼ぶなど、お客様フレンドリーな雰囲気が伝わってくる。

また、カラーの講座やメイクアップ講座は就職活動にも役立つかもしれない。ボタニックピースはほっこり美味しい飲み物とお食事、素敵な雑貨が楽しめる場所。木曜定休日。無料で Wi-Fiも利用できる。ぜひ学生のうちに開拓しておきたいお店の一つだった。