豊臣秀吉自筆の書状など、1740点の古典資料が、財団法人センチュリー文化財団より慶應義塾に寄託され、2月24日、三田キャンパスの図書館旧館記念室で契約書の調印式が行われた。同財団からは、寄託に関連する諸分野の研究助成のため、「センチュリー文化財団赤尾記念基金」(仮称)として1億円の寄付も義塾に対してなされ、式典では同団体の赤尾文夫理事長に対し、安西祐一郎塾長から基金の感謝状贈呈も行われた。
センチュリー文化財団は、株式会社旺文社の創業者である故赤尾好夫氏の発意によって発足した財団。言語などに関する資料の収集・保存・展示活動を通じて、人類の相互理解と世界平和の安定に貢献することを目的に昭和54年に設立された。今回の寄託、寄付は慶應義塾が昨年に、創立150年を迎えたことを記念して行われた。
寄託された秀吉の書状は、柴田勝家を滅ぼした戦勝を正室の「おね」に伝えるために書かれたもの。戦いによる疲労の様子などを伝える。このほかの寄託品には、京都の市中とその郊外を描いた桃山時代の「京洛風俗図屏風」(けいらくふうぞくずびょうぶ)や平安時代の経筒、江戸時代の硯箱などがある。式典会場には、資料の実物が数点展示され、報道関係者にも公開された。
寄託された全資料は、慶大の付属研究所で、日本及び東洋の古典に関する資料の収集や調査研究を行う斯道文庫(しどうぶんこ)が保管先となる。