1972年6月5日、環境問題を巡る初の政府間会合として、国連人間環境会議がストックホルムで開催された。この日を記念して、国連は「世界環境デー」と定めている。日本でも、6月は環境月間。地球に生きる一員として、改めて地球環境と向き合ってみよう。

「持続可能な発展」へ 地球1個分の暮らしを目指して

人間は経済活動を拡大することで、便利で豊かな暮らしを築いてきた。反面、格差は拡大し、自然環境も悪化し続けている。今、その「代償」は無視できないまでに深刻なものとなり、人間の脅威として立ちはだかる。

環境問題の解決は急務とはいえ、経済活動そのものを否定するような提案は現実的ではない。目指すべきは、人間の生活が快適で、且つ環境への負荷が少ない未来だ。そのためには、現在の経済至上主義から脱却し、「持続可能な発展」へ転換していく必要がある。

「持続可能な発展」のためには、環境面の取り組みだけではなく、経済的、社会的な問題の克服も不可欠だと考えられてきた。たとえば、繰り返される森林破壊の背景には貧困問題があるように、人間と環境の双方を健全に保つ必要がある。

WWF(世界自然保護基金)によれば、人間が地球に与えている負荷を算出すると、世界は今、地球1.6個分の暮らしをしていると言う。もし全ての人が日本と同じ生活をしたら地球2.9個分が必要になる。どうすれば「地球1個分の暮らし」を取り戻せるのか。WWFジャパンの清野比咲子さんに、日本人の生活のどこに問題があるか尋ねた。

第一に、二酸化炭素の排出量が多い。日本の二酸化炭素排出量は世界5位。エネルギー源を化石燃料に依存しており、再生可能エネルギーの割合はわずかだ。食糧廃棄の問題も深刻だ。

第二に、環境に対する消費者の意識の問題がある。日本の食文化に水産物は欠かせないが、誤った漁法で乱獲すれば海の生き物は危機に瀕する。消費者に海の多様性への配慮は足りているだろうか。

同じことが「パーム油」についても言える。耳慣れない名前だが、実はケーキなどの食品、洗剤や医薬品など幅広い製品に利用されており、使ったことのない日本人はいないはずだ。しかし、生産地の東南アジアなどでは農園開発のために大規模な森林破壊が進む。

持続可能なパーム油製品につけられるRSPO認証マーク @WWF Japan

自然環境を悪化させる要因は、日常生活の中にも潜んでいることがわかる。「持続可能な発展」のためには、一人ひとりの生活の見直しが必須だ。具体的には、環境負荷が少ない製品を「選」ぶ。廃棄物の量を「減」らす。再生可能エネルギーの導入など技術革「新」を支援する。WWFジャパンは、このような「選・減・新」の三本の矢による生活の変革を提案している。

市場には、持続的な方法で生産されたことを示す認証マーク付き商品も出回っている。水産物にはMSCマーク、パーム油ならRSPOマークなどがある。消費者が意識して商品を選べる時代だ。

環境問題に取り組むとき、個人は非力な存在ではない。何よりも求められているのは、個人が起こす一つひとつの小さなアクションの積み重ねなのだ。

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